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別に悪い両親だったとは思ってねーよ。ただちょっと運がなかったよなア、こうなったのもさ。影山サンにくっついて真帝国造るまではちょくちょく家帰ってたんだぜ、まあそこらで知り合ったオネェサンとかオジサンのとこ転がり込んでたのが多かったような気もすっけど。あんま覚えてねぇや。でも真帝国が出来てキャプテンになってスカウトに走り回ってたらんなことどうでもよくなってさ、影山サンはホントは埠頭に学校建てようとしてたみてーだけど、諸々の事情で無理だってわかった途端、ぽんっと潜水艦なんか買っちゃってさあ。あれはびびった正直びびった。でもあの潜水艦は割と好きだったんだぜ。あの時は親のいる家よりも何よりもあるべき場所って感じがした。実力でもぎ取った、俺は『真帝国の』不動明王様だってな!アハハ!だから家なんて帰らなかったし、多分帰ろうとしても帰れなかったろーよ。寝て起きて飯食ってサッカー、毎日それの繰り返しだった。連絡なんてするわきゃねぇんだから多分失踪扱いになってたんだろーな。仮に親が俺が誘拐されたっつって警察に行っても普段の素行を鑑みたらどう足掻いたって警察が信用するはずねぇし。そんなこんながあって潜水艦はちゅどーん!大爆発!真帝国は海の藻屑となりました!やっと勝ち取った居場所はあっさり崩壊したってわけだ笑えるだろぉ?埠頭まで泳いで自力で這い上がって水を吐いたときの絶望感!ウケる!また他人の家転々とする生活に逆戻りかと思うとげんなりしたね。会いに行こうとは思わなかったなア。今更どんな顔して行ったらいいんだよ、ってさ。まあそれが間違いだったっつーか、なんかさ。俺が潜水艦にいたのを親は知ってたみてーなんだよ、なんでか知んねーけど。そこに潜水艦爆発だろぉ?警察から逃げ回ったおかげで、てっきり俺が爆発に巻き込まれて死んじまったと思ったみてぇ。借金取りは相変わらずだから夜逃げしたらしいぜ?もっと早く逃げりゃ良かったのにさあ、いつ帰るとも知れねー馬鹿息子を待ってたんだよ、ずっとさ。馬鹿だよなあ。親ってそういうイキモノなわけ?あんたならわかんだろ、なあ。……アハハ!あんたのそーいうとこ、けっこーすきだぜ。安っぽい同情なんてされたらうっかり失望するとこだったね。信じた?信じてない?どっちでもいいぜ、このまっさらな売地が俺の家だったってさ!



ストロベリーの庭にて
2011.01.29 title by joy




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