裏 | ナノ
跨ぐ
揺すぶられる中、助けを求めて浮いた手を絡め取られた。 そのままシーツに沈めて縫い付けられる。指の間から音羽先輩の熱さが感じられて、指先を縮めて強く握った。
熱のこもる息が、僕の頭上で動く。膝が揺れて感覚が奪われる。与えられる甘い痺れが何倍も身体の上で暴れて、悔しくなる。 かぶりを振ると先輩は言った。
「嫌ならいつでも止めてやる」
反して、殊更染み込ませるように耳を食まれる。舌がゆっくりと耳朶を這っていく。
「…あ、…あッ」
ビクリと震え背骨が溶ける。 二度も脳天を麻痺させられて、そのまま淡い快感に襲われ続けた身体はあまり自分の意思を聞いてくれない。それでも彼が動く度に自分の足先も揺れるのが羞恥を煽る。彼の指先が僕の足に触れると、それだけで目が熱くなる。
「音羽…先、輩っ」
半ば強引に目を合わせ軽く舌をチラリと見せながら、せがむ。 深く深く口づけをしながら激しく突かれ、意識を手放す瞬間、歳月の産声を遠くに聞いた。
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