earnest
大学生になったあの人と、高校生の俺の、二人の時間は…
「え…マジ?あーうん、解った。…っ全然!気をつけて来なよ?ちゃーんと待ってるから。」
格段にへった。
耳に当てた携帯を離して幸せが二つ三つ飛んできそうな溜息をつく
そりゃあさ、忙しいのも解ってるし、新生活が楽しいっつーのも解る。
わかるけど…
「俺の扱い、ひどくね…?」
自分の呟きが冷えた体にしみて、コートの衿元に顔を埋めた。
……身も心も寒いんですケド
とりあえず、時間を潰す為、喫茶店に入る
ウインドーに写る顔は、嵐さんの言う情けない顔ってやつだ
ほっぺたも耳もまっかっか。
そりゃね。今日が楽しみで、30分前から寒ーい中まってりゃこうなるっつの
いらっしゃいませ、と感じのいいお姉さんが席に通してくれて、一人で席につく。
待ち合わせ場所が良く見える窓際の、特定席だ。
ふと頬杖をついて周りを眺めていると、チャラそうな男にナンパされてる、まぁ可愛いかんじの女の子。
……まぁ、まんざらでもなさそうだし止めなくても大丈夫でしょ。
「ふっ…」
男の方超必死。
あーあー、笑われてるじゃん。
けどなんかうまくいったぽい?
人のナンパの成功なんて別にどうでもいいんだけど…なんとなくあの頃の自分に被る
必死さ加減とか?
「……ミラクルおきたーってかなり喜んだっけな」
一緒に歩きだした二人の背を窓越しに見送りながら、初めて美奈子ちゃんに会った時の事を思い出す
きっかけは、ただのナンパだったんだ
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