狂った歯車 | ナノ

▽ 歪む心


強制的に約束した日曜日。待ち合わせの駅前広場で、煩わしい喧騒にまみれながら携帯をいじってた。

あんな目に遇ったのに、アンタは一日だけ熱出して休んで普通に登校してた。
嵐さんにだけ『部活休む』って報告したって。
嵐さんにだけ…ギリッっと携帯を握る。
部活来なきゃ、学年違うオレとアンタに接点なんかなんもない。

そして今日になった。昨日ただ一言だけ

『駅前広場 10時』

ってメールした。本当は今日来る確信なんてない。
強引に繋がりを持たせた一つの画像。
すぐに違う写メを探す。ふと目にとまったのは瓦礫道に三人でいって撮ったアンタの写メ…。
マジで天使みたいだと思ったんだ。
胸が締め付けられる。


「俺…天使に何してんだろ…」


パコン、っと携帯を閉じて辺りを見回す。
遠くから見間違うハズもないアンタが歩いてきてホッとして顔が緩む。
途中でナンパの男に声かけられる姿に、思わず腰を上げる。
何故かアンタはそいつに深々頭を下げて、俺の元に小走りで走ってきた。


「ごめんなさい…少し遅れちゃった…」


いつもならニッコリ微笑んでくれるのに、今日は目も合わさない。
当たり前か…。
心に影が落ちる。
グイッと手首を掴み、繁華街の方へ何も言わずに進みだした。


「に、ニーナどこいくの?」
「黙れよ」


一喝されたアンタは、嵐さんに知らず知らずの内に鍛えられてた、追っかけっこん時のオレみたいに、ションボリとしてオレに掴まれたまま引かれていく。


「あっ!」


ずっとオレのペースで歩いてたせいで、つまずいて転びそうになった体を受け止める。


「あ、ありがとう…」


咄嗟の事に、フワリと笑顔がこぼれて心を奪われる。
顔が赤くなりそうで、すぐに離してまた手首を掴んだ。
ちょっと前までは普通に手を繋いだり、腕組んだりしてたのに…。
何も言わずに少しペースを落として、また歩きはじめる。
通りを外れ、裏道へと抜けた。


「ね、ねぇニーナこっち何もないよ?」


少し不安混じりな声で訴えかけてきたけど、何にも答えないオレに諦めたのか静かに大人しくついて来はじめた。
人気のない区域を越えて、また少し建物が見え始めたところでアンタがキョロキョロして、少しだけ足取りが重くなっていくのがわかった。



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