狂った歯車 | ナノ

▽ オレのカノジョ〜後編


シャワーを浴びたアンタが戻ってきて、ストンとオレの前に座る


「髪乾かしたげる」

「うん」


ドライヤーで風を当ててると、アンタがキュっと目をつぶって、オレに髪を乾かさせてくれる


「渇いたよー」

「ありがとう」

「うん」


ニッコリ笑って、ドライヤーのコードを抜くと、渇いた髪を梳かしながら、その様子を見てたアンタがオレに抱きついてきた


「ど、どうしたの?」

「大好きだよ、旬平くんの事本当に大好きだから」

「うん、オレもスゲー好き」


髪を撫でながら細い体を優しく抱きしめる


「旬平くん…ここであった事気にしてる?さっきから、様子が変な気がする」


核をつかれて一気に心臓が早くなる
スゲーな気づかれない様に振る舞ってたんだけど


「…してるよ、つーか美奈子ちゃんに無理させた事…全部、本当に謝っても謝りきれない位、ゴメンって思ってる」

「気にしないでって言っても、気にしちゃうと思うから、わたしも本当の事言うし、旬平くんが思ってる事全部聞かせて?」


本当のアンタの気持ち…
全部知りたい…


「…うん、言って欲しい」

「本当に怖かったの、ずっと好きだった人にあんな事されるなんて思ってなかったし、初めは痛かったし、ただエッチしたいって言われたのに、自分ばっかり好きって認めたくなくて、何度も嫌いになろうと思ったの」

「うん、ゴメン…」


グサリと胸に言葉が突き刺さる
うわーっ…マジキッツイ…
だけどちゃんと受け止めなきゃ、この先ずっとわだかまり残したまんまじゃいけない
本当にアンタが大切なんだ

抱きしめたまんまだからアンタの表情はみえないけど、きっと泣きそうな顔してる
アンタが1番辛いんだ
抱きしめる腕に少しだけ力を込める


「ここであった事が1番怖かったの」

「ゴメン…」

「でも…やっぱり嫌いになれなくて、求めてくれるならそれでもいい、だけど優しくして欲しいって思ってた、そしてずっとね…謝りたかったの」


体を少し離して、オレと目を合わせてきた
やっぱりすごく泣きそうな顔してる


「何を?美奈子ちゃんが謝る事なんもないよ?」

「弟みたいって言ってゴメンなさい…わたし告白する勇気なくて、旬平くんの事、素直でカワイイなってあの時思ってて…咄嗟に弟って言っちゃった事に怒って、あんな事になっちゃったのかな…って思ってて…」


そこまで言ったらアンタが黙って、俯いてしまった
そうだよ
オレ弟って思われてるって思ってムカついたんだ、男としてみてもらいたかったし、初めは傷つけるつもりだった
すっげー好きだったのに、勝手に裏切られた気になった
だけど抱いちゃったら、それっきり繋がりなくなんのヤダったんだ


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