狂った歯車 | ナノ

▽ 飢え続ける躯〜前編


傷つけたあの日から、メール完全無視
部活に来て淡々とマネージャーの仕事はしても常に嵐さんにくっついてるか、他の部員にくっついてて、話す隙も与えられない


完全に避けられはじめた
あたり前だといえばそうだけど、それで関係を終わらせるつもりなんて微塵もない


「集中しろ!新名!!」


ゴチャゴチャ考えてたら、組んでた嵐さんに一瞬で懐に入られ、背負われて反応出来なくて、受け身をとれずに思いっきり畳に叩きつけられた


「おい!新名!大丈夫か!?」

「ニーナ!!」


気のせいかな…?アンタの声がした
グニャリと世界が揺れる、ひどい耳鳴りがしてそのまま意識を失った






パチッと目を開けると、真っ白な見慣れない天井…部室じゃない…
ああ…オレ、嵐さんに投げられたんだ…
て、事は保健室?ダセェ、マジかっこわりぃ
ほんと最悪…柔道ん時まで、考えちゃう位アンタに心が侵食されてる
柔道してる時は、なんもかんも忘れて夢中になれてたのに…
自己嫌悪に陥りながら、目を閉じるとカーテンの向こうから、話し声が聞こえてくる



「一応目を覚ましたら、病院連れていってあげてね、先生今から職員会議だから、後はお願いね」

「わかりました、ありがとうございました」


間違いない…アンタの声
こっちに歩いてくる足音が聞こえて、カーテンをゆっくり開ける音がする
寝たフリかまして、そっちに神経を集中させる
カタン、とイスに座る音がして隣に気配がある
様子を伺うように、じっとしてたら髪を撫でるように手が触れて、思わずその手を掴んで引っ張った


「きゃあ!」

「…なにしてんの?」

「あ、の大丈夫…かなと思って…」


嵐さんとか他の部員にも、アンタはこうやって触んのかよ
避けてるオレにする位だからそうなんだろ?
マジでムカつく、何考えてんの?


ベッドの際で踏ん張ってる手を引っ張ると、心地好い重みが体にかかる
正面に来た顔を挟んで、無理矢理キスしてやると、メチャメチャ嫌がって逃げられた
もっと触りたい…


「やめて!!」

「いいじゃん、ここでヤらせてって言ってる訳じゃないし」


何いってんのオレ…余計警戒されちゃうじゃん
真っ赤になりながら、オレと距離をとる様に後ずさった
無駄な沈黙…それを破るように入口の扉を開く音がして、人の気配…シャッ、とカーテンが勢いよく開けられた


「新名大丈夫か?」

「…押忍」


絶対嵐さんに怒られると思ったのに、スゲー心配してくれてる
オレもこんな男になりたい…
嵐さんをみてたら、視線がアンタの方に向いて首を傾げる


「おまえ何か顔赤いぞ?大丈夫か?」

「え?あ、うん大丈夫だよ」


嵐さんがアンタの熱を計るみたいに、自然に額に手を当てた
沈めたハズの嫉妬心が湧き出てくる
どうしてそんなに自然にそんな事できんだろ
しかもアンタも何で普通に触らせてんの?


「熱はないなー」

「平気だよ」


何その笑顔…
嵐さんが特別だから…?


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