▽ 悲しい嘘
あれから部室でしかアンタと会えなくなって、オレにぎこちなくても、ちゃんとマネージャーの仕事をこなすアンタにもう、部室ではあんな事出来なくて、ただ触れない日々が続いてた
少しでもアンタをみたくて、いっつも教室の窓から渡り廊下を見下ろして、アンタの姿を探すのがクセになってた
「なんだ、ニーナまた外みてんの?」
「ん?うん」
「何もねーじゃん」
「うん…」
ガックリと窓枠に突っ伏して、うなだれる
会いたい…声が聞きたい…触りたい…
「お!お前んトコのマネージャーじゃん、あの人カワイイよな〜」
友人の声でバッと声をあげて、渡り廊下をみると、沢山のプリントの山らしいものを持って、職員室に向かう姿がみえた
『今、何してんの?』
携帯のメールでアンタにメールを打って、すぐに視線を戻す
どんな反応が返ってくるんだろう
「あ!」
すぐにアンタは、持っていたプリントを落として慌ててあらかた寄せ集め、携帯を開いて、すぐに閉じ、また散らばったプリントを集め始めた
「うわ!可哀相…」
オレのメールのせいで、落としちゃったんだ…
二階からじゃ、すぐに助けに行く事さえ出来ない、これがアンタとオレの距離…
風が吹いて、飛んできそうなプリントを必死で集める姿に、一人誰か駆け寄ってきて、手伝い始める
「あーアレ、ニーナんとこの部長さんじゃない?」
嵐さんが教室からみてたのか、すぐに散らばったプリントを片付けて持ってあげてた
オレだってすぐに行けるなら、すぐにでも手伝ってやりたい
アンタが嵐さんに謝ってる姿が見えて、頭を撫でられてた
落ち着いてた黒い気持ちが、ジワリと染み出していく
「あの2人付き合ってんの?」
友人の指さす先には仲良く話しながら、職員室に向かう2人の姿
「しらねーよ」
「まぁ、お似合いだよな」
お似合い…
その通りだと思う
並んでてもすげー様になってる…
そして嵐さんならきっと、アンタにあんな事絶対にしない…
モヤモヤ考えてたら、アンタからの返信
『大迫先生に言われて、プリント運んでたよ』
知ってるよ…見てたんだ
こうやって、律儀に返してくんのがアンタらしい
少し気持ちが落ち着いて、返信する
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