狂った歯車 | ナノ

▽ そして時は動き出す


卒業式の日一人ずつ卒業証書が渡される
アンタの名前が呼ばれて、頭を上げその姿を目に焼き付ける
凛とした横顔がとても綺麗で、その立ち振る舞いをずっと見てた


「もう、あの人みれねーんだな」


隣に座る友達がコッソリ話しかけてくる


「そうだな」

「お前さ、本気で好きだったんじゃないの?」

「…うん、スゲー好きだった」

「マジで?」

「マジで…」

「…そっか」


いつもはからかう友達もオレの様子に少し心配そうにして一時黙り、すぐに言葉を続ける


「告白しねーの?」

「したよ」

「フラれた?」

「何も言ってくんなかった」

「じゃあわかんねーじゃん」

「無理だよ」


お前だって高嶺の花だのなんだの言ってたじゃん
しかもオレずっと酷い事ばっかりしてた
嫌いにはなっても好きになる事なんかないと思う
しかも好きな人いるみたいだし
仲のいい友達ポジションにもいられなくなっちゃったし


「まだ、フラれてないんだろ?諦めんの?どうせフラれんなら、ハッキリフラれた方がスッキリしない?」


友達の言葉に心を動かされる
そうじゃなくても、オレはアンタに何か理由をつけてでも会いたいんだ
盛大な拍手の中、卒業生が退場して行く
隣を過ぎるアンタと目が合って、優しく微笑んでくれた


「ほら!笑ってくれたじゃん!言うだけ言えよ!!」





式が終わってザワザワした教室で考えてた
もし伝説にあやかれるのなら、あやかりたい…このままじゃ諦めきれない
上手くなんていかなくてもいいから、ただ本気で好きだった、いい加減な気持ちじゃなかったと、それだけでもアンタに知ってほしい

教室を飛び出して教会に向かう
なぜか鍵が開いてて、中に入ると日差しが差し込んでステンドグラスがキラキラしてた


やっぱ…いないか…


戻ろうとしたその時に、重い扉が開く



ギィ…



と鈍い音を立てて逆光で人影が見えた


3/5

[ | back | ]


QLOOKアクセス解析
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -