▽ 暗転
現実はそう上手くいかないってわかってるけど、でもちょっとだけ楽しい未来想像したよ
オレがいて、側にはアンタがいて、アンタとオレの子供がいて、楽しく暮らすんだ
「寒くなってきたし、そろそろ家帰んなよ、これでスッキリ受験に集中出来るでしょ?」
アンタはすっげーカワイイ自慢の奥さんで、子供はアンタ似のカワイイ女の子だったりしてさ
「ニーナ…」
「オレも帰んなきゃ、もうアンタにあんな事絶対しないし、安心しなよ」
アンタの前でだけは泣きたくない
「わたし…」
「一流、絶対受かってよ、頼むから…」
好きな人の人生壊しちゃうなんて、これ以上情けないカッコ悪い男になりたくない
「うん…」
「じゃあね」
もうこの場に立ってるのも辛くて、振り返ることも出来ず走って公園を後にした
本気の恋愛するのが怖かった
本気になったから、今度は失うのが怖かった
だからずっと繋がりを求め続けた
それは自分勝手な気持ち
本当に愛するって思いやれる事
ホントにすっげー好きだったんだ
好きで、好きでどうしようもない位
初めて会った時から好きになる予感はしてた
初めてデートした遊覧船
あれ以来会えなくて、何度もアンタに会いたくて駅前広場に行ったりしてた
けど全然会えなくて、諦めようとした時にもう一度出会えた
運命だって思ったんだ
予感は的中して、どんどん好きになっていった
アンタの一挙一動がオレの全てになって、自分さえ保てなくなったんだ
メチャメチャ走って、泣くのを我慢したけど、止まってアンタの事考えたら、目頭が熱くなって、信じられない位涙が出てきた
12月のシンとした冷たい空気が、流れた涙の跡を冷やすのに、涙が溢れる瞬間は熱くて、そのアンバランスさにまた泣けてきた
To be continued…
8/8
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