狂った歯車 | ナノ

▽ 踏み出す一歩


部活終わって帰る帰り道
目の前を歩くアンタがいて、走って追い掛けた


「あの…さ、途中まで一緒に帰っていい?」

「…うん、いいよ」


アンタの歩幅に合わせ歩きながら、逃げたって何されたっておかしくなんかないのに、アンタは隣を歩いてくれてる


「もう…アンタ達が部活に来ないなんて、何か実感ねぇな」


違う…オレもっと他に言いたい事があるハズなんだ


「そうだね…わたしもまだ信じられないかな、嵐くんと二人で始めて、初めは部室なんかなくて、二人で練習場所探したり、文化祭の時も嵐くんが、百人掛けイベントとかしたりしたんだよ、ホント…あっという間…」


オレ…それ知らないよ…
懐かしそうに話す夕焼けで、オレンジに染まったアンタの横顔をずっとみてた
その中に…オレはいない…


「…百人掛け…ってあの人マジパネェな」

「さすがに百人はいかないよ!でもね、嵐くんの頑張りをみてくれてた人達が沢山いて、いっぱい拍手をくれたの、感動したな」


語られる過去に胸が締め付けられる
どうしてオレは一つ下なんだろう…
同級生だったら、その思い出の中にオレも入ってたのかな…


「…嵐さん…やっぱスゲーよ」


やっぱりアンタはいっつも、嵐くん、嵐くんでさ、オレには嵐さんを越えることは出来ねーのかな…
アンタに伝えたかった気持ちが言い出せなくなって、どんどん心がしぼんでく


「だけど、次の部長はニーナでしょ?嵐くんもいってたじゃない?進化させてくれって、ニーナなら出来るよ」

「…オレ、そんなん聞いたら、責任重大で逃げ出したくなるんだけど…」

「ニーナなら出来るよ、信じてる」


何を根拠にそんな事言えんの?
アンタが一番知ってるでしょ?
オレが卑怯で、最低な奴だって事…



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