狂った歯車 | ナノ

▽ 飢え続ける躯〜後編


「あの…お風呂…ありがとう」


扉の方をみると、濡れ髪でオレの服着てチョコンと立ってた
サイズがでかくて、ダボダボしてるのも何かかわいくて、抱きしめたくて堪らなくなる


「ドライヤーあるからこっち来て」

「うん、ありがとう」


何でありがとう、とか言えんの?
アンタココに連れて来られなきゃ今頃普通に生活してんだよ?
部屋に戻って、濡れた髪の水分を叩いてとってやり、ドライヤーをかけ始める


「自分で出来るよ」

「やりたい」


困った様な顔をして、仕方なく大人しくオレに、ドライヤーをあてさせる

髪…柔らかくてきれいだな…

乾かし終わって、手ぐしで整え、キスすると大人しくされるがままになる

ほんとに逃げねぇつもりなんだ


「お腹…空かない?」

「簡単なものなら作れるよ?」


オレを見つめて小首を傾げる
こんなオレに優しくすんなよ
自分がすげぇ汚い奴だって思いしらされる


「じゃあ何か作って、キッチン使っていいから」

「何でもいい?」

「うん」






リビングでテレビみながら、チラリとキッチンをみると、トントンと手際よく何か切ってる音が聞こえる
すごい嬉しくて、何でもないフリして口許の緩みを隠した


しばらくして、オレの前にオムライスが置かれた


「美味しくなかったらゴメンね?」


オレの為だけに…作ってくれた
美味しくない訳ないじゃん…何があっても全部食うよ

スプーンですくって口に運ぶ

スゲーうまいし
ガツガツ食べてると、オレを見てたアンタがニッコリ笑ってくれた
期待するじゃん…ヤダヤダ、マジやめて


「いただきます」


丁寧に手を合わせて、食べはじめたアンタをみると、手首にさっきの無理した跡が痛々しく残ってて、胸が押し潰されそうになる





食べ終わって、皿を洗う姿をみてると、たまに顔がしかめっ面になったりする


しみるんだ…


「オレ、洗うからいいよ、冷蔵庫から飲みもん持って部屋行ってて」

「え?あっ!」

「痛いんでしょ?手」


洗ってた皿を取り上げて洗い始めると、オレを見上げて、少しだけ微笑んでくれる
冷蔵庫から言われた通り、飲み物をとってオレの部屋に戻っていった


何か…彼女みたい…



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