▽ 飢え続ける躯〜後編
カチャっと扉を開くと、グッタリしてるアンタに近づいて、ベッドに拘束してた結び目を解くと、バフッとベッドに体が落ちる
縛られ続けた手首は、痛々しく変色してた
ゴメンね…
クシャクシャになったネクタイを外し、拘束をといてやると、縛られていた部分は所々皮がむけていた
感覚がないのか、アンタが両手をギュッと握り合わせたり、開いてみたりを繰り返す
「シャワー浴びる?」
「…うん」
「じゃあ、ここで全部脱いで」
驚きを隠せない顔をみせ、フルフル頭を横に振る
「そんなのヤだよ…」
「そのまま逃げちゃうかもしれないじゃん…」
「もう、逃げたりしないから、あんな事しないで」
「アンタ嘘つきじゃん」
「ニーナだって嘘ついた…」
そうだね、オレの方がすごい嘘つきだよ
アンタにも、自分にもずっと嘘ついてる
本当は優しくして、キスして、抱きしめたいよ
実際は乱暴して、犯して、奪う事しか出来ない
「アンタさ、携帯画像の事忘れてねぇ?」
曇った顔がより曇っていき、俯いたままで黙りこくって、何事か考えた後口を開く
「…バスルームで脱ぐから、ついて来て…人のお家のリビングとか、裸で通りたくない」
「わかった」
冷えた手を引き、バスルームまで連れてきて、自ら服を脱がせる
「あんまり…みないで…」
「もう、みてないトコなんてないよ」
どうしてこんな事いってしまうんだろう
唇を噛んで覚悟を決めたように、全ての服を脱いでいく
「バスタオルはそこにあるし、着替えはオレのTシャツとハーフパンツあるからそれ着てて」
「…うん」
バスルームに入る姿を見送って、リビングでテレビをつけ、別にみたいのも何もやってなくて、チャンネルを次々に変えていく
しばらくして、シャワーの水音がしたり、止まったりを繰り返す
ちゃんと止めるんだ
オレいっつも出しっぱなしで母ちゃんに怒られっけどな…
30分位すると、バスルームの扉が開いて、アンタが出てきた
2/5
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