絆 | ナノ


▽  -kizuna- 08


ようやく始めた一人暮らし
必要なものを揃えるのにもお金がかかる
そして必要以上に体を洗っちゃうクセが抜けない


「…困ったな」


バイトを見つける前に一人暮らし始めちゃったから、ここの家賃も、光熱費も両親が協力してくれてる
早く頼らないようにしなきゃ
食費とかは高校の頃にバイトで貯めたお金を切り崩し中だし、このままだと、じり貧状態だよ


そういえばコウもルカも高校の時からWest Beachに住んでたんだよね
偉いな、2人とも…
それに比べてわたしってば情けないな…

この前アルバイトNEWSで募集通知がくる登録をした
バイトしなきゃいけないのに、中々乗り気になるバイトも見つからなくて、自分がどんどん取り残されてる気になっていく


「…もう、どうしよ…」


パソコンをシャットダウンして、携帯をいじってみる
そういえばミヨにまだ一人暮らし始めたって言ってない…
『引っ越し報告』と『バイト見つからないよ報告』をメールすると、すぐにミヨから電話がかかってきた


「もしもし?」

『バンビ、バイトみつからないの?』

「うん、中々いいとこなくて」

『アナスタシア、一人辞めたから募集するよ』

「そうなの?いいなぁ…ケーキ屋さん」


ミヨは高校時代からずっとアナスタシアでバイトしてる
わたしは受験の時に、ハロゲンを辞めちゃったけど、ミヨは日数をセーブして続けてた


『バイトする気があるなら、チーフに話してみる』

「ほんと?お願いしてもいい?」

『いいよ、明日話してみる』

「嬉しい!ありがとうミヨ〜。助かる!」


ミヨと一緒に働けたら、色々話も出来るしきっと楽しい
大学が離れちゃって予定が合わなかったりで、あんまり遊べなかった

まだ…コウと別れた事は、カレンにもミヨにも言ってない
相談に乗ってくれて、つき合い始めた時も、一緒にすごく喜んでくれた
卒業と同時にカレンは留学して、たまにくれる連絡で色んな事報告しあったりしてたけど、コウとの事はまだ嘘ついたままで、のばしのばしにしても、いつかバレちゃうのにな…


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