▽ 絆 -kizuna- ※01
俺が美奈子に告白して付き合いはじめてから、何ヶ月か経った。
ルカの提案でWest Beachで3人で暮らしはじめ、初めは確かに美奈子が増えて楽しかったし、何より自分の女とずっと一緒ってのが嬉しかった。
ルカも元々美奈子とは仲いいし、一緒暮らしてて何の不自由も感じなかった。
だけど最近俺の中はずっとモヤモヤしてた。
自分の女と弟が仲が良すぎる。
この前3人で買い物に行った時も、ルカが美奈子の隣にいて、端からみりゃ二人が『カップルなんじゃねぇのか?』って思う位俺は二人の後ろをくっついて歩いてた。
美奈子が振り返って、俺の所に寄ってきて腕組んだりすると、ルカがちょっと不満そうな顔をしてた。
何だよその顔は…。
「んもー!ルカ、ズルイよ!!」
「美奈子が弱すぎるんだよ」
ルカが友達から借りてきたっていうテレビゲームを俺の部屋でルカと美奈子の二人でしてた。
負けっぱなしのお前をルカがからかって、腕を叩いたり引っ張ったりしながら、また負けてムキになってた。
ルカに突っ掛かったりして、いいように翻弄されて、頭撫でられたり、頬っぺたつねられたり、まぁ端かりゃみてりゃラブラブカップルみたいに見える。
ムカつく…。
俺の女に気安く触んな。
「コウ!敵とってよ〜!!」
「する?」
こてんぱんにやられて、雑誌を読んでた俺の元に半泣き状態で寄ってきた美奈子が首に巻き付いた。それを見ていたルカが複雑そうな顔をして、コントローラを俺に渡そうとする。
だから何だよその顔は…。
俺の女なんだから当たり前だろ?
「いや、しねぇよ」
何か前みたいにはしゃげない。
初めのうちは全然気にならなかったそれも、最近爆発しそうな位イラつく。
お前がまた俺から離れて、ルカの手からコントローラを奪い取り、ゲームをしだすとルカの表情が明るくなる。
ムカつく…大体お前もルカにくっつき過ぎなんだよ。
ベタベタ触りやがって…。
「おい、いい加減にしねぇと二人とも起きれねぇぞ?」
「んー…じゃあ、また明日ルカ勝負ね!」
「いいよ?負けないし」
二人で笑いながら約束して、ゲームの電源を落としてた。
お前はどうしてそんな無邪気にルカに笑いかけるんだ?
不安になるじゃねぇか…。
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