絆 | ナノ


▽  -kizuna- 01


コウは卒業式の日に美奈子に告白して、二人が付き合うことになり、学校を卒業した俺たち3人はWest Beachで暮らし始めた。

在学中に、コウが好きだと美奈子から聞いたあの日の事は今でも俺に深い傷を残してる。
少しでも側に居たいと色んな相談に乗って、何度も二人で会ってた事をコウは知らない。

もしかしたら、話してるかもしれないけど…。
相談に乗ってる内に、美奈子への抑えきれない気持ちが膨らんでってた。
傷は広がると分かっていても、二人で会える喜びの方が大きかった。
二人がくっついて、とても幸せそうな姿を見る度良かったと思う反面、自分の中のドス黒い感情が自分を覆いそうになる。
コウはスゲーいい奴で、美奈子がコウを選ぶのは当然で…。

きっと大事にしてくれる。
これでいいんだと何度も自分に言い聞かせてた。



3人で買い出しに行くのが俺らの週末恒例行事。
美奈子が買い物しながら、色んな物をみて笑ったり『俺に好き嫌いするな』とか俺を気にかけてくれるのがすごく嬉しい。
何かをみつけた彼女は、コウんとこに走っていって、腕絡ませてコウを見上げる。

前からスキンシップは多かったけど、やっぱコウに対する態度と、俺に対する態度じゃ全然違う。

美奈子の背中には『コウが大好きです』って貼り紙がしてあるみたいだ…。
やっぱ好きな女が、こんなに側に居るのに男として触れないのは辛い…。
何で俺じゃないんだと、コウの元に走っていく美奈子をみながら最近よく思う。




「んもー!ルカ、ズルイよ!!」

「美奈子が弱すぎるんだよ」


友達から借りてきたテレビゲームをコウの部屋でしてた。
もちろんそれは彼女と少しでも関わりたくて。
いけないなって思いながらも、美奈子の笑顔が見たくて、触れたくて、ゲームを口実に親密になりたかった。
親密になれるんならなんでもいいんだ。

ムキになって対戦ゲームで挑んでくる美奈子がかわいくて、怒った顔も、拗ねた顔も色んな表情をみたくて、ついゲームでいじめすぎた。最後にはソファーで雑誌を読んでたコウに泣きついてしまった。

二人だけで遊びたいんだけどな…。


「コウ!敵とってよ〜!!」

「する?」


一応コントローラをコウにみせ、コウにしがみつく彼女をみて心がざわつく。


あんまり俺の前でそんな事すんなよ…。


「いや、しねぇよ」


前だったら、コウは任せとけとばかりに対戦してたと思う。
ここ最近の態度は、多分俺が美奈子に好意を寄せていることを薄々気づいてきたのかもしれない。
けど、どうしても美奈子を諦めきれない。
特に最近二人でいることが多くて、いっそ美奈子を抱いてしまって、自分のモノにしてしまいたいとさえ思ってしまう。


そろそろ完全にヤバいな俺…。


コウに敵をとってもらえないと分かった美奈子が、俺の手からコントローラを奪い取り、またTVの前にペタンと座って、膨れっ面で俺をみる。
それもまたかわいくて、思わず抱きしめたくなる心を抑えてた。


「おい、いい加減にしねぇと二人とも起きれねぇぞ?」

「んー…じゃあ、また明日ルカ勝負ね!」

「いいよ?負けないし」


コウがついに痺れを切らして、注意を始めた。
残念…今日はここまでか…。
明日も対戦する約束をしてゲームをやめた。


明日もコウが帰ってくるのが遅ければいいのに。

そしたら、もう少し二人っきりでいられて、邪魔されないのに。


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