絆 | ナノ


▽  -kizuna- 11


サークルの部室で今度の合宿の話し合いが始まってる。やっぱりバーベキューとカレーに決まりそう。なんとなくそんな気はしてたけど、それならわたしでも出来そうだし。


「食料買出し、設備、運搬班その他諸々決めてくぞー。くじ引いてー。何も書いてないのもあるからそいつは決まった班のフォローな」

「はーい」


お菓子の箱に入ったくじを各々引いて色んな担当を決めていく。
莉子ちゃんと2人で偶然食料買い出し係になっちゃったところでふと周防先輩が口を挟んだ。


「女の子2人でこの量の荷物は重いでしょ?車出すよ。」

「いいんですか!?」

「周防〜お前設備班だろ!?女の子じゃ大変だからとかいいながらラッキーだとか思ってんだろ?」

「思ってるよ〜。野郎なら手伝わないけどな」

「うわっ!2人とも気をつけなきゃダメだよ!なんかされたら俺がこうやって制裁してやるからね!」


くじを作った先輩が周防先輩の首をロックしてお腹に緩くパンチしてみせる。


「あいたたた!」


他の先輩達の笑い声に周防先輩達が応えて軽いプロレスごっこみたいになる。『もっとやれ!』とか『負けるなー』とか色んな歓声が飛び交って笑いが部室中に広がった。


「じゃあ僕も付いて行こうかな」


丁寧に係分けをホワイトボード書いてた玉緒先輩がキュッとマーカーのふたをしめて口を挟む。


「お前もか!!紺野!!」

「人畜無害なふりした鬼畜が!」


周防先輩から標的を変えた先輩が玉緒先輩の背中に飛びかかる。


「痛い痛い!」

「実は僕、白くじで係決まってないし、美奈子さんは後輩だからね」


そう言うと何も書いてない白いくじをこっちに見せてくれた。周防先輩が買い出し内容を決めようと手招きをすると莉子ちゃんが嬉しそうに駆け寄って行く。わたしも慌てて後ろに続いた。


「もっともらしい理由つけやがって〜」

「白くじは大変なところの手伝いっていったのお前だろ。女の子2人でこの人数の量は大変だよ。そもそも買出し班の人数くじ多めにしとかなきゃいけないよ」


ホワイトボードに追加で名前を書いてる呆れ顔をした玉緒先輩の後ろでくじを作ってきた先輩が悔しそうに机を叩く。


「ぐっ...!!おっしゃる通りでございます」


設備班になった先輩達が設備班を招集しながらそのやり取りをみてこっちへと言葉を投げる。


「紺野なら周防よりも安全には変わりないな」

「どういう意味だよ!」


買い出し表を作ってた周防先輩がすかさずツッコむとみていた先輩達がウンウンとうなずく。


「いや、俺どんな風に思われてるわけ!?」

「うるさい!この女ったらしめ!ここは仕方ない!行け!紺野!周防の悪の手からかわいい後輩達を守れ!」

「やれやれ...買い出し行くだけなんだけどなぁ」


苦笑しながら紺野先輩が両手を広げてみせる。笑い声に包まれた部屋で、莉子ちゃんの方を見ると周防先輩を見つめて1人だけ複雑そうな顔をしてた。


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