絆 | ナノ


▽  -kizuna- 08


バイトが終わって二人で近くのファミレスで、一緒にご飯を食べようってミヨを誘った
コウと終わった事をちゃんと話す為に


「バンビ、良かった」

「ミヨのおかげ、ありがとう」


バイトも決まったし、久しぶりで色んな事をいっぱい話した
だけどコウとの事を中々言い出せなくて、席も立てなくて俯いたらミヨが口を開いた


「…何か、あった?」

「あ…、のね…」


声も震えちゃって、コウの名前を出せば、一緒に涙も出ちゃいそうで、対面に座るミヨの顔が、どんどん心配そうな顔に変わる


「桜井兄…?」

「う、うん…そうなのっ」

「バンビ…」


当てられちゃって、ニッコリ笑ったつもりでも、わたしは泣き出してた
お店でこんな風に泣くなんて恥ずかしい
ミヨにも迷惑だよ
だけど涙止まんない
『コウ』って言わなくなって結構経つのに、こんなに自分が弱いなんて思わなかった
ミヨが隣にきて座り、ハンカチを渡してくれて、黙って手を繋いでくれた


「わかっ…れたの…っ」

「うん」

「…だい…、すきっ…だった」

「うん」

「楽しっ、かった…」

「うん」

「なにもっ、お礼…いえっ、なかった…」

「うん」


こんな事ミヨに言っても仕方ないのに、コウに伝えられなかった気持ちを、いっぱい吐き出してた
ミヨはそれをただ黙って聞いてくれた
落ち着いた声が凄く優しくて、傷ついた心に染み込んでく
ず、って鼻を啜ると、繋いでる手をきゅ、って強く握ってくれた
しばらくして落ち着いて、はぁって、大きく一息ついた


「…泣いちゃった」

「バンビ、顔グチャグチャ」

「ミヨのハンカチもグチャグチャになっちゃった」

「いいよ」


ミヨが優しく笑ってくれるからつられて笑う
居てくれて良かった
じゃなきゃ、奥のモヤモヤした気持ち吐き出せなかった


「ありがとう、ミヨ」

「バンビは笑ってた方がかわいい」

「あははっ、なにソレ」

「ほら、その顔」


二人でクスクス笑って、周りをキョロキョロ見回す
『出よう』ってカタンと二人で席を立ち、会計をすませてお店をでた
辺りはすっかり暗くなってて夜空を見上げる
まんまるい黄色いお月様がとっても綺麗


「しばらくココ来れなくなっちゃう」

「どうして?」

「泣いちゃったから」

「バンビは色々気にしすぎ」

「そうかな」

「そう」


別れ道で少し立ち止まりミヨが口を開いた


「一人で平気?」

「うん、もう大丈夫」

「無理はダメ」

「本当に平気、ありがとう」

「いいよ、バイト明日から一緒だね」

「楽しみ、また明日会えるね」

「うん、また明日」


バイバイって手を振って家へと帰る
その日少しだけ、体を洗う回数を少なくする事が出来た




To be continued…


4/4

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