絆 | ナノ


▽  -kizuna- 08


今までのわたしの生活はコウ中心だった
大学の友達は、カレンやミヨみたいにずっと長くつき合える友達ってまだいない
コンパの誘いが多くて、コウが居たわたしは必然的に断ってたから、皆に乗り遅れちゃったのかもしれない
サークルとか、そういうの…探してみた方がいいのかな
何をすればいいのかわからないけど

講義を終えて、トボトボ帰る帰り道に携帯が鳴り出した
着信はミヨ
『もしもし』を言う前にミヨが用件を告げる


「バンビ、今からすぐアナスタシア来て」

「え?」

「チーフが会ってみたいって」

「ほ、ほんと!?行く!」


家への帰り道、方向転換してアナスタシアへ向かう
久しぶりにミヨと会えるのも嬉しくて早足になる
もしかしたら、バイトも決まるかもしれない
なんて都合いいかな…?

フト自分が映るショーウインドーで立ち止まって、チョイチョイと前髪を直す
窓越しに写った薬指に目が止まる

ミヨに…話さなきゃ
でも、気づかれなきゃ…話さなくてもいいかな
そんなの絶対ダメだ
わたしが逆の立場だったら、話してくれないと悲しい
そんな事をグルグル考えながら歩いてたら、アナスタシアに着いてた
今はこっちに集中しなきゃ
パチンと自分でホッペタを叩いて、店内に足を踏み入れた


「バンビ、待ってた」

「ごめん、遅くなっちゃった」


アナスタシアの制服に身を包んだミヨが、ニッコリ笑ってコッチに駆け寄ってきて手を取った


「ううん、そんな事ない、コッチ」


ミヨに引っ張られて『STAFF ONLY』って書いてある扉を抜ける
そういう所に入る時って、凄くドキドキする


「チーフ」

「ああ、その子?」

「はい」


ミヨがチーフと声をかけた人が振り返り、丁寧にお辞儀をすると、ニッコリ笑ってくれた
しばらくして、そのまま面接する事になった
ミヨが部屋を後にして、念の為に持ち歩いてた履歴書を渡す

緊張してた面接は形式的な質問しかされなくて、そのまま明日から入る事になった

本当に決まっちゃった…



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