▽ 絆 -kizuna- 08
次の日2人の友達と大学のカフェテリアでランチをしてた
今日の話題は男の子の話
何学部の誰くんがカッコイイとか、そんな話ばかりで、恋愛から離れたいわたしは、貼付けた笑顔をみせてた
カップの中のコーヒーを、スプーンで必要以上にカチャカチャ、掻き混ぜていると、楽しそうに話していた友達の会話が止まった
「美奈子さん?」
「え?」
呼ばれた方を振り返ると、玉緒先輩がビックリした顔で立ってた
「玉緒先輩!?」
一瞬誰だかわからなかった
玉緒先輩かっこよくなった
眼鏡もコンタクトにしたみたいだし
「後ろ姿が似ていたから、もしかしてそうかな?って思って声をかけたんだけど、良かったよ本当に君で、恥かくとこだったな」
優しく笑う笑顔は何一つ変わってなくて、思わずつられて笑う
「お久しぶりです」
「久しぶりだね、元気だった?」
「はい、元気です」
慌てて席を立ってペコリと頭を下げると、先輩は優しい笑顔をみせた
「立ったりしなくていいのに、相変わらず律儀なんだ。君らしいね」
「えっ?」
「ごめんね、お友達と一緒のところだったのに」
玉緒先輩が友達の方に、視線を向けて微笑むと、急に2人の背筋が伸びる
「わ、わたし達の事は気にしないで下さい!なんならランチご一緒しませんか!?」
「是非!」
2人がランチに誘うと、玉緒先輩は少しビックリした顔をして、やんわりと優しく断りを告げる
「ありがとう、また今度誘ってくれるかな?今日はあっちで友人が待ってるんだ」
「じゃ、じゃあ、また今度!」
「また今度、美奈子さんも」
「あっ、はい」
歩いてる姿を女の子が何人も振り返る
もしかして、結構有名人なのかな?
待っていたらしいお友達の方へ歩いて行く先輩を見送って、席に腰掛けた途端両サイドから友達に手を引っ張られた
「ひゃっ!」
「美奈子ちゃん!今の紺野先輩じゃない!?」
やっぱりこの2人が知ってるって事は有名人なんだ
「どういう関係!?」
「あ、高校の頃の先輩だよ」
「いいな〜!あんな先輩〜カッコよすぎ!」
「やっぱりモテてたの!?」
「うん、結構人気あったよ。生徒会長だったし」
きゃあきゃあ、はしゃぐ2人を見て軽く微笑んだ
かわいいな
わたしにはもう、そんな気持ち起こったりしないから
温度差が居心地悪くて、適当な理由をつけてその場を後にした
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