絆 | ナノ


▽  -kizuna- 06


バスルームから出て、脱衣所で体をちゃんと拭いて、鏡に映った姿が信じられなくて凝視した

体にはいくつもの痕と、痣が浮き出て、それが所々赤かったり、青かったりした
1番酷いのは顔で、泣き過ぎで瞼が腫れ上がり、自分の顔じゃないみたいだった

こんな顔をコウに見られちゃったの…?

外にも出れない、学校にこんな顔で行きたくない
メイクで隠せるレベルじゃない
心の底から両親が旅行でいなくて良かったと思った

こんな顔見られたら、絶対心配させちゃう…

キッチンに向かい、冷凍庫の中から、アイスノンを出して、タオルで包み瞼にあてる



コウとルカはどうしてるんだろう
コウは今仕事してるのかな…
ルカはちゃんと家に戻ってきたのかな…

わたしにはもう…関係ないけど…


部屋に戻ってベッドに寝転んで、あてていたアイスノンをひっくり返す為に少しずらすと、左手にコウがくれた指輪がはまったままだった

急激に想い出が蘇る

つき合う前にコウがくれた…
高2の誕生日だったな
すごく嬉しかった、何度も指にはめた指輪をかざして、緩んじゃう顔を必死でこらえた
ピッタリだったから、わたしの指のサイズを知っててくれるのも嬉しかった


ちっちゃい時から、きっとずっと好きだった


かくれんぼしてる時、鬼に見つかると残念なはずなのに、見つけてくれるとすごく嬉しかった

その時は何故かわからなかった
ルカと一緒に隠れてて、いつも不安そうにしてたルカが、コウに見つかると、わたしと一緒ですごく嬉しそうだった

ルカもわたしもコウが大好き
本当のお兄ちゃんみたいだった


ルカに聞くまで本当の兄弟じゃないなんて知らなかった
本当の兄弟より兄弟みたいだった

何をするのも一緒、二人がお互いを解りあってて、兄弟も、姉妹もいないわたしにとっては、すごく羨ましかった


しばらくしてずっと、コウばかり目で追ってる自分がいて、それがお兄ちゃんが欲しいって感情じゃなくて、コウを男の人としてみてるって事に気づいた


2人にくっついて、3人で遊ぶのはすごく楽しかったけど、たまにはコウと2人になりたいなって思いだした


だからコウが照れながら、デートに誘ってくれた時、すごく嬉しかった
コウが好きそうな服を前の日から、何度もコーディネートして、ネットで流行りもの調べて、何度も鏡を見て、ドキドキしながらデートに行った


コウはすぐに気づいて褒めてくれた
自分は髪の毛触ると怒るクセに、クシャクシャと頭をあの大きな手でよく撫でてた

それが心地よかった

好きな気持ちは止まらなくて、自分からデートに誘ったり、誘われたり、ルカ抜きで遊ぶ事が多くなった


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