▽ 絆 -kizuna- ※05
部屋の前まで来ると今日の昼の事が思い出され、全身に感触が蘇り身体がすくむ
ここには居たくない
あんなにも居心地の良かった場所が怖くて仕方ない
最後の段までのぼりきると、コウが顎でベッドの方へ促す
「ベッドに座れ」
途端に鼓動が速くなる
座った位置が気にくわなかったのか、コウに場所をずらされ、軋む音に恐怖が蘇る
「…なに…?」
「コレ…何だよ?」
「え…?」
首筋にかかる髪をかきあげられ、ヒヤリとしたコウの指が触れた、目の前の鏡をみるとそこには小さい鬱血痕が残ってた
ルカだ…
あの時逃げる事に必死で気がつかなかった
全身の血の気が引き、表情が凍りついて、反射的に手で覆う
いつから気づいていたの?
「…首にはつけねぇようにしてんだよ。俺じゃねぇなら…誰につけられたんだ?」
知ってるよ…わたしが困らないように、気をつけてくれてる
コウがしゃがみ込んで、目をみつめてくる
ちゃんと目を見れなくて、目を逸らした
逃げ出したい…
「大学にす、きな人が…出来たの…」
嘘をつくのは凄く辛くて声が震えた
本当はコウが好き、大好きだけどもう一緒には居られない
コウは何も言わない…
沈黙に耐えきれなくなって、ベッドから立ち上がろうとすると、許されるはずもなく、手首を思い切りひっぱってベッドに戻された
ギシっと音をたてて、次の行動を許されなかった体がベッドの上で少しバウンドする
「…ルカだろ」
体が予想以上に震えた
バレた…どうしてルカだってわかったの?
頭がパニックで何て言えばいいのかわからない
「…マジかよ」
わたしを掴む手に力が込められてコウが俯いたもう…言い訳のしようもない…
ごめんなさい…
許して欲しい…
こんなに好きなのに…
嘘をついてすぐ見破られて、そんなわたしは何を言っても、もう信じてなんかもらえない
「…脱げよ、他はどこにつけられてるか調べてやるよ」
「…え…?」
予想していなかった言葉に戸惑い、黙ったままみつめられうつむく
ガクガクと震え始める身体を抑えようと自分を抱くように縮こまる
怖い…
何をされるの…?
「…一人でできねぇなら手伝ってやろうか?」
「…や…め」
「ルカにはやらせたんだろ?」
したくて…したんじゃない…
大人しく下着だけにされるとベッドに押し倒され、指でツーっと塗り変えられたキスマークの痕を辿られる
コウの表情は必死で怒りを押し殺してる
コウの手がショーツを剥ぎ取り、割れ目を辿り下半身を弄られた
「い…いや!!」
逃れようとする体を押さえ付けられ、奥に指を挿れられ掻き回される
「ひっ!!」
制止もむなしくにコウの指は奥を掻き回す
中から流しきれなかった昼間の不貞と共に、少しの水分を含みコウの指を汚した
「バレなきゃ何してもいいのかよ」
そう告げた顔はすごくつらそうにみえた
こんな顔させるつもりじゃなかったのに
違う…好きな人なんか出来てないコウが好きなのに
喉に何かつっかえたみたいに言葉が上手く出ず、そのままコウの大きな手が伸びてきた
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