▽ 絆 -kizuna- 02
「ルーカ!!出来たよ!!」
「…ああ…ゴメン!サンキュ」
ようやく顔を上げてもらい、ちょっとだけ、抗議がわりに頬を膨らませる
カウンター越しにホットケーキを渡すと、キレイに切り分けて、ルカがそれを口に運ぶ
「おいしい?」
「うん!スゲーうまいよ!」
自分が作ったものを誰かが食べてくれるって何だか少し嬉しい
ルカは色々反応してくれるから、ついつい感想を聞いてしまう
コウは『うるせぇ』とか全然何も言ってくれないけど、すぐ態度に出ちゃうから、それはそれで、素直でわかりやすくていいんだよね
わたし…コウなら何でもいいみたい…
ふとルカをみると、もう一回ナイフを入れた方がいいんじゃないかと思うような、大きなホットケーキの一切れを口に運んでた
「ホットケーキそんなに好き?」
「好きだよ」
「ちゃんとご飯も食べなきゃダメよ?」
心配になって、ついつい口をついて出てしまうルカの口の端をみると、さっきの大きな一切れのシロップが口についてた
「ついてる」
つま先立ちでカウンターから手を伸ばし、口のシロップを指で拭うと、ルカにその手を掴まれ、思わず転びそうになり、慌てていると急にルカが指を舐められた
「きゃっ!!」
な、な、なに!?
目の前のルカの舌がくすぐるように、指についたシロップを舐めとっていく
だんだん恥ずかしくなってきて、顔の温度が上がっていく
「シロップ、俺の」
信じられない!!どんだけ食い意地張ってるの!?
「んもぅ!!ビックリした!!ルカ食い意地はりすぎ!!」
そんなにシロップいるなら、もっとかけてあげれば良かったかなと思い、じっとみると目の前のルカはニッコリ笑い、また黙々とホットケーキを食べはじめる
少し呆れ顔でそれをしばらくみて、使った調理器具を洗い、タオルで手を拭き、キッチンを出て、ルカの隣に放置したバッグを取る
「バック置いてくるね」
ルカにそれだけ告げ、コウの部屋へ向かう
今日のレコードは何をかけるか頭の中で迷いながら、螺旋階段をのぼり、最上階のコウの部屋を目指す
遅くなるコウを想って、少しでも一緒な気分を味わえるように、コウがお気に入りのレコードをかけようと、決めると少し顔が綻んだ
To be continued…
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