絆 | ナノ


▽  -kizuna- 05


それを俺が断ち切った…?


「オイ琉夏?お前顔真っ青だぞ?どっか具合でも悪いんじゃないのか?」

「…う、ううん、違うよ」

「お前ら本当にどうかしたのか?」


心配そうに俺を覗き込む親父に、これ以上心配かけさせちゃいけない


「何でもない…よ」

「何でもない顔じゃないだろ?」

「コウはどうしてる?」

「あぁ?仕事ほっぽって出かけたまんまだ、ントに使えねぇ、忙しかったらぶっ飛ばしてるぞ」


コウがそんな投げ出すなんて信じられない
心臓わしづかみにされたみたいで、息がうまくできない

俺は…バイトだって普通の顔して、昨日だってこなせてた
コウだってそうだって思ってた
だけど、あの責任感の塊みたいなコウがそれさえ放棄するって、それ程美奈子が心ん中占めてたなんて思わなかった
思いの強さでさえも、俺はコウに勝てやしなかったんだ


「そっか」


その後黙ったまんまで俯いた俺の頭を、ポンポンと叩いて、親父が言葉を繋ぐ


「お前その思い詰めるクセ良くねぇぞ、琥一と何かあったなら、気が済むまで話せ、じゃなきゃ気が済むまで殴り合え」

「過激だね」

「男なんてそんなもんだろ、気が済むまで殴り合ったら、何でも解決すんだよ」


どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう
本当の息子でもないのに
親父に笑いかけると、コウみたいに笑ってくれた


「今日もバイトか?」

「うん、夕方から」

「あんまり無理すんなよ?何かあったらすぐ言えよ?言わなかったらぶん殴るからな」

「ははっ、わかってるよ、心配しないで」


本当にわかってんのか?って顔されて、少し話した後、親父は帰って行った



これからの事ちゃんと考えなきゃ
結局しっかりしなきゃ、ずっとこうやって心配かける事になる

設計の道に進めたら、どっか就職して、そのうち自分で事務所とか持てるかもしれない
それしか今はやりたい事が見つからない
どこかでコウとも繋がってる気がする
迷惑だって思われるかもしれない


今から死ぬ気で勉強して、金貯めて、一流大学に受かって、奨学金受けられれば、卒業して働きながら返せる
自分の力だけで何とかなる
一人で生きていける

ただ…父さんと母さんが、いなくなった時と同じに戻るだけだ



修復させなきゃ…
美奈子はきっと誤解してる
コウはきっと美奈子を迎えに行けない
もう二度と会っちゃダメだと思ってるハズだ

あんなに思い合ってた二人が、壊れるわけなんかない…
それさえも乗り越えてもう一度


二人を離れさせたまんまじゃいけないんだ


これは自分のエゴかもしれない
二人が元通りになれば、自分が救われるかもしれないって…
なかった事に出来るかもしれないって

大学に受かりさえすれば、美奈子と接点が出来る


俺を怖がるかもしれない…
今は怖くてメールも電話も出来ない

だけど時間が経って、会って話す事が出来れば、俺が必ずコウの気持ちを美奈子に伝える…
コウは…美奈子を忘れない
忘れられる訳がないんだ


だから美奈子…
お願いだから、コウを忘れないでいて…
何年掛かったって、俺はもう一度お前達を引き合わせてみせるから



To be continued…


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