絆 | ナノ


▽  -kizuna- 02


でも、少し位は意識して欲しい。
俺だって男なんだよ?
驚かせようと、シロップのついた指を舐めてみた。


「きゃっ!!」


ビックリして急に真っ赤になった姿に少し嬉しくなる。
そう…そうやって意識してほしい。
けど意識させないように直ぐ取り繕う。
今までそうやってきた…。
少しでもお前と関わりたくて…。
それに意識させたところでどうなるわけじゃないから。

ただ…辛いだけだ…。


「シロップ、俺の」


ほらこんな風に全部冗談に変えていかないと。


「んもぅ!!ビックリした!!ルカ食い意地はりすぎ!!」


乾いた笑顔をみせながら、思わず掴んでしまった手を離す。

俺はちゃんと笑えてる?
残る温かい感触に、心が締め付けられる。


もっと…触っていたかった。


キッチンから出てきた美奈子は、俺の隣に置いてあったバッグを取る。
コウ好みの服は、割と露出が多く、今まさにそのせいで大きく開いたシャツからチラリと胸元がみえた。

そこには、昨日コウがつけたと思われる、赤い痕がついてた。
脳天を割られるような激しい衝撃が走る。

フツフツと自分の中にドス黒い感情が湧きあがってくる。
どうして…俺のモノじゃないんだ。
俺だってずっとお前の側にいた。
何でコウなんだよ…。
俺ならお前が欲しがる言葉もいくらでも言ってやる。


「バッグ置いてくるね」


さっきの出来事は全くなかったかの様に、いつもと同じ調子でいわれる。
螺旋階段をのぼり、コウの部屋に入って姿が見えなくなる。
俺は何かに突き動かされる様に、それを追った。



To be continued…


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