絆 | ナノ


▽  -kizuna- 01


「っ…はっ…ぁ」


あーあ…イカされてんじゃん…。
そんなにコウが上手いわけ…?


ピリッって音が聞こえて、しばらくすると、重量感のあるギシッって音が聞こえた。


まさか…最後までヤルつもりなのかよ?


「あっ…ん」

「動くぞ」

「…う…ん」


男を受け入れた彼女の甘い声が聞こえ、もう完全に二人が繋がっている事がわかる。


やめろ!やめろ!!


グチュ、グチュと響く濡れ音に交じり、ギシギシとベッドの軋む音が響き渡り、コウが美奈子を貫く音が聞こえる。


「んっ…あっ、あっん、コ、ウ、だぃ…すき」


そんな風に抱かれながら、お前は甘い声で喘ぎながら、コウを愛しそうに呼ぶの?


「…美奈子」


コウが美奈子を呼ぶ声も、愛しくて堪らないって声だ…。
目頭が熱くなってきて、聞きたくなくて、必死で耳を押さえた。


「あっ…もっ、ぅダメ」

「イけよ」


どんなに耳を塞いでも、彼女の淫らな声は二人が果てるまで、俺の耳を犯し続け、俺はショックで涙が止まらなかった。


「今…何時かな?」

「三時位じゃねぇか?」


もしかしてコウは俺が起きてたの気づいてた…?


「コウ、後三時間も寝れないよ?大丈夫?」

「お前こそ大丈夫か?」

「明日は講義一つしかないから平気」

「無理させて悪かったな」

「いいよ、コウとするの好き」


美奈子にそんな事いわせるなんてさ…。
さすがだよ…完全に俺の負け…。

イヤ…初めから俺はコウに勝てるハズなんかなかったんだ…。


「寝るか」

「うん」


二人が寝息を立てるのを聞いて、俺は美奈子のあの声が頭から離れず、何とか自身を落ち着かせ、気分転換に外にそっと出た。


月明かりの下で、波の音を聴きながら、心を落ち着けたくて、ただ静かに美奈子を思うと涙が止まらない。


ホントに…美奈子が好きなんだ…。
どうして…俺のものじゃないんだ。
抱きたい…抱きたい…!!


コウから奪って、自分のモノにしてしまいたい。


夜が明けて、コウの顔をみたくなくて、誰よりも早くWest Beachを後にした。



To be continued…


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