絆 | ナノ


▽  -kizuna- 01


部屋に戻って、目覚ましをかけてベッドに横になる。
きっと美奈子はコウの横で今日も幸せな夢をみて、また明日明るい笑顔で俺に笑いかける。


メチャメチャ悔しい…。
美奈子を抱いて眠りたい…。


「おやすみコウ」

「ああ、寝坊すんなよ?俺の方が出るの早えーんだから、起こしてやれねぇぞ?」

「うん、大丈夫だよ。ねぇ…わたしの事好き?」

「はぁ?いちいち言わなくてもわかれよ」

「たまには言ってくれてもいいのにー」


あーあ…いいよな…。
美奈子がオレの女ならいくらでも好きだって言ってやんのに。
二人のオヤスミを交わす声が聞こえて、部屋の天井を見上げる。

どうせ、オヤスミのキスとかしてんだろ?




何か今日は横になっても熟睡が出来ない。
バイトで疲れてるハズなのに、
何度も浅い眠りを繰り返しては、目が覚める。


喉が渇いて静まり帰った室内を、懐中電灯がわりに持った携帯の明かりを頼りに、冷蔵庫へ飲み物を取りに行き、戻ったベッドでゴロゴロ転がりながら、意味もなく携帯をいじってた 。



しばらくすると、上からギシリと音がして、寝相悪いなとか思いながら、パタンと携帯を閉じて、また目をつぶってみる。




「うぅ…ん…」

「コウ…?」


美奈子の寝言…?思わず閉じていた目をあける。
夢でもコウの事呼んじゃうんだ…。


「ん、あっ、…んん、ダ…メだよ」


………………コレ

違う…寝言じゃない。
静まり返った室内に響く、何かを舐める濡れ音が響き、悩ましげな声が聞こえる。


「ルカ…起きちゃ…ぅよ?」

「アイツ一回寝たら起きねぇよ」


起きてるし。
…何…やってんだよお前ら…。
キシリ、と小さく動く二人の気配がする。


「濡れてるぞ?」

「…やぁ…ダメ…」


うわ…止めろよ…!!
ハッキリと聞こえる二人の会話は、すでに何回も男女の関係にある事がわかる。


「ふっ…ぅ」

「…お前早すぎ…」

「だ、だって…最近…その、してなかった…から」


美奈子がイッたりしたりするわけ?
心とは裏腹に、感じる彼女の声に嫌でも自分の体が反応しだす。

コウが何してんのかなんて、彼女の抑えきれない荒いやらしい息遣いと、繰り返される濡れ音でわかる…。


「気持ちいいなら逃げんな」

「だって…」

「声出さねぇように口塞いでろ」


塞いだって聞こえてんだよ!
もうやめろよ!!
ギシギシと、軽く律動する音と、クチュクチュ聞こえる濡れ音が彼女のドコをどうしているかなんてすぐわかる。


そして美奈子がそれに感じている事がショックで堪らない。


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