▽ 絆 -kizuna- ※03
考えが浮かんだ途端激しく動揺が走る。
熱くなった頭が冷えていき、自分のした行為を目の当たりにする。
太ももには自分の白濁した液に混じり、血がにじんでいる。
無理をしたせいで、体には幾数もの痣が浮かび、俺で汚されていた。
乱れ切ったシーツに横たわるボロボロのお前は、ただ静かに弱い呼吸をしているだけだった。
自分の惨い仕打ちに思わず目をそむけ、震えてくる手にはじっとりと汗が滲む。
もしそうなら俺は…今まで何してた…?
自分の服を意識のない体に着せ、散々痛めつけた身体を抱きしめる。自分に比べてあまりに小さい身体に、激しい後悔が襲う。
自信がなかった。
ルカと話すお前はいつも楽しそうで、あんまり喋れねぇ俺は引け目を感じてた。
いつかあいつに奪われんじゃねぇかと怯えてた。
だから昨日も自分の女って誇示したくて、ルカにわかるように抱いた。
結果的にルカがお前を…傷つけた…。
ルカがそこまで追い詰められてるって思わなかった。
全部俺のせいだ…。
何をやってんだ俺は。
強くだきしめるとダランとした手が落ちた。
そこには付き合う前にやった指輪がはまってて、ちゃんとお前をみてれば分かった事だった。
無造作に床に散らばっている服も、俺が好きな服だった。
お前はこんなにも俺を好きだと全身でいってたのに。
俺は今までお前の何を見てたんだ…。
ビビらせねぇでちゃんと話をすればよかった。
そっとベッドに寝かし、意識のない唇へ優しくキスをする。
切れてしまった唇が痛々しく、後悔だけが残る。
「好きだ…おかしくなる位惚れてんだ…」
答えの返ってこない告白は、静かな室内に吸い込まれていく。
ルカに奪われたと思った。
それなら体だけでも奪ってやろうと。
「ルカと…大差ねぇじゃねえか」
むしろそれより酷い…。
あんなに大切にしようと思っていたのに自分で壊してしまった。
もう…ダメなのか…?
お前はきっと…笑わない…。
ちゃんと…好きだっていってやれば良かった。
あんなに言葉を欲しがっていたのに…。
床に手足を投げ出し、天井を見上げる。
頭が真っ白で何も考えられなくなった。
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