絆 | ナノ


▽  -kizuna- 02


「ごめ…んなさい」


何が…ごめんなさいなんだ?
泣きそうな声を出し、少し乱れてしまった服を整え少し離れたカウンターのイスへ腰かける。
そこにはルカが食べ残したホットケーキがあの時のまま置いてあり、チリチリと胸の奥が疼いてくる。


「…あ、あのね…わたしの事…好き?」


突然の質問に動揺してしまう。
どうしてこう何度も確認するんだ。
好きでもない女にあんな事するかよ。しかも今聞く事じゃねぇだろ…。


「…いちいち言わせんな」


また言葉に出来ず、つい突き放してしまう。
泣きそうな顔に“好きだ”といってやりたくても恥ずかしくて言えない。

それよりも首の痕が気になる。
自分がつけたと思いこもうとする。いっそ聞いてしまおうかと思った。
どう言えばいい?
いっそお前が確認していつもの様に真っ赤になって『どうしてこんなところにつけるのよ』とオレをなじればいい。


「おい、ちょっと来い」


どんなに考えても無駄だと思った俺はお前を連れて部屋に向かう。


「コウ?」


カンカンと螺旋階段の金属板を踏むヒールの音が響く。
部屋に近づくたびに、カン、カンとスピードが遅くなるのを背中で感じた。


確実に何かあった。
違うと思いたくても、確信に変えるのに充分な間だった。


何があった?
お前は何をしたんだ?
もしかしてルカと…?
不安に押し潰されそうになりながら部屋に向かう。



もしそうなら…。
何すっかわかんねぇ…。



To be continued…


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