▽ 絆 -kizuna- 02
ソファーに腰掛け、車のキーをテーブルに放って見上げると、落ち着きがなく、ソワソワする美奈子がいる。
いつもならすぐに隣に寄り添うようにくっついてくんのに…。
マジでどうしたんだ?
様子がおかしい…。
とてつもない不安が襲う。
美奈子が座るスペースを空けてやると、いつもの様にそっと隣に腰掛け、目も合わさず髪の毛をいじりはじめた。
「お前今日一回ここにきた?」
気になっていたシーツの事をきく。
そもそも何で実家に戻る必要があるんだ?
「…どうして?」
「シーツ替えただろ?」
「…うん」
だいたい美奈子が来てから、2日に1回のペースで替えてたのに、今日は立て続けに替えた事になる。
しかも何か声にも元気がなく、何より美奈子が自分から喋らないのがおかしい…。
マジでどっか調子悪いんじゃねぇのか?
それだったら、実家に帰ってたのも頷ける。それなのに連れてきてしまった…。
何だか悪い事をした気になって、思わず抱きしめる。
それに美奈子はビクッと体が硬直させ、すっかり固まってしまった。
「大丈夫か?」
風呂に入ってきたのか、抱きしめると柔らかい髪からいつもと違う甘い香りがした。
すっぽりと腕におさまる身体を抱きしめ、いつもの様にうなじ近くにキスをする。
ゆっくり唇を離すと、髪で隠れる首筋に楕円の赤い痕がある。
ドクンと眩暈に似た感覚がし、急激に鼓動が速くなる。
コレ…キスマークじゃねぇのか?
俺が…無意識につけたのか?
抱きしめる腕に力を込めると、腕の中で美奈子がもがき始める。
「ちょっ…とコウ!ルカが帰ってきちゃう!!」
「かんけーねぇ」
わからない…今すぐ脱がせて確認したい。
手早く服の中に手を侵入させると、柔らかい感触が掌に伝わり、たまらず揉みしだく。
「や…待って…!ん…っ!!」
とにかく早く美奈子が欲しくて柔らかい唇をふさぐ。
ルカが帰ってきたって止めるつもりはない。
みせてやればいい…。
湧きあがる不安が欲望に変わっていく。
美奈子は俺のモンだって解らせてやりたい。
「ダ…メ…!コウ!!い…やぁっ!!」
ソファーに押し倒そうとしたところで俺の手からすり抜けていく。
それが益々グルグルとした不安の渦にまきこませる。けど赤い痕の事を直接聞けるほど俺は心の準備ができてない。
「…悪かったな」
それを気づかれたくなくて、何事も無かった様に振舞うつもりで雑誌を取る。
記事なんか一つも頭に入ってこない。
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