絆 | ナノ


▽  -kizuna- 11


合宿当日待ち合わせ場所に1番早くに着いていたのは玉緒先輩だった。


「おはようございます。早いですね」

「おはよう。そういう美奈子さんこそ」

「なんだか落ち着かなくて...」

「まぁ、僕も協力するって言った以上どうすればスムーズに大石さんを助手席に座ってもらえるか悩んでるんだけどね」

「わたしもそう思うんですけどいい案がなくて...」


顔を見合わせて上手く誘導する方法がないか画策してもこれといって何も浮かばなくて2人で悩んでいると玉緒先輩が思いついた様にわたしを見た。


「はば学の元生徒会メンバーで集まる事になったから僕ら2人で後ろに座って話ししたいっていうのはどうだろう」

「そうですね!いいかもしれませんね!」

「さっそく周防にメールしてみるよ」

「はい!」


メールを打っている玉緒先輩を見上げているとわたしの視線に気がついて優しく微笑んでくれた。


「よし、これでOKだ」


玉緒先輩がメールを打って携帯をしまう前にすぐに返信音が鳴る。


「早いな...っ!?」


玉緒先輩は携帯を見た瞬間目を見開いて口元を覆った。


「先輩...?」

「あー...そうか、うん。」

「え?」

「いや、多分こっちの方が後々動きやすいなって思ってね」


そういって見たメールには『紺野、実は小波ちゃんの事好きなんじゃない?』って書いてあって慌てて玉緒先輩を見上げた。


「で、でもっこんな誤解されたら玉緒先輩困るじゃないですか!」

「僕はいいよ。これだったら4人で動く時も必然的に周防が大石さんを誘うし都合いいと思うよ」

「だけど...」

「大丈夫だよ。協力するっていったからね」


玉緒先輩は笑うと『実はそうなんだ。協力してくれないか?』って周防先輩に返信してた。
しばらくして時間ピッタリに到着した周防先輩が車から降りると丁度莉子ちゃんもわたし達を見つけて走ってきた。


「こんにちは」

「お世話になりまーす」

「みんな時間ピッタリだね」

「紺野は20分前についてそうだよな」


するどい読みに紺野先輩が苦笑する。


「それじゃ行こうか。紺野と小波ちゃんは後ろで莉子ちゃん助手席にどうぞ」

「え!?」


莉子ちゃんがわたしの方を振り返る。
周防先輩はそれを気にもとめず助手席に流れるように案内する。


「しっかりシートベルトしてね」

「ほら、紺野達も早く乗れよ」

「ああ」

「失礼します」


玉緒先輩にうながされてわたしは後部座席に玉緒先輩と乗り込んだ。
座った瞬間携帯がブルっと震えた。


『この席緊張しちゃうって!なんで〜!?』

『大丈夫だよ!玉緒先輩が協力してくれてる。』

『これって周防先輩にバレバレじゃない?』

『周防先輩が、玉緒先輩がわたしを好きって勘違いしてて、玉緒先輩もそれの方が協力するのに都合いいから勘違いしたたままにしとこうって事になってるの!あんまりメールすると変に思われちゃうよ!』


しばらくしてサイドミラー越しに目が合って莉子ちゃんがうなずいた。
莉子ちゃんに話しかける周防先輩はとても優しくて、借りたきた猫みたいなってた莉子ちゃんはしばらくするといつも通りの莉子ちゃんに戻ってた。
隣をみると玉緒先輩がわたしを見ていて優しく微笑んでいた。


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