▽ 絆 -kizuna- ※07
ムカつく事で頭がいっぱいになっていると、きつい香水の匂いで現実に引き戻された。
体を密着させられて無意識に眉間にシワがよる。
「先に口でしてあげる」
なんだそりゃ。
テメェとヤるっていつ決まったんだよ。
ジーンズの上からナニを撫でくりまわされ、されるがまましているとペニスを剥き出しにされた。
他の男に抱かれてる美奈子の事を考えると全てがどうでもよくなって、この状況でも抜けりゃ自分でする手間も省けて楽でいいと思った。
「すごーい!勃ってないのにおっきい。」
とはいえくわえられても反応する気配がない。
それどころか勃起する気配もねぇ。
この女下手すぎんだろ。扱きゃいいと思ってんのかマジで下手すぎてますます萎える。
とことんついてねぇな。
自分の右手の方がマシだ。
「どう?気持ちいい?」
「見てわかんだろ。下手すぎて勃たねぇよ。離せ」
「は?」
ペニスをしまい呆然とする女の体を押しのけ、自動の水道の水で軽く手を洗っていると、鏡越しに睨まれていた。
女相手に睨みをきかせても格好悪い。
とっととこの場を引きあげるかとノブに手をかけた。
「アンタさぁインポなんじゃない?使えない男。彼女お気の毒〜」
一瞬カチンときた。
わざと挑発する様に、クスクス笑いながら喋ってんだろう。
「そーかもな」
女に吹っかけられたケンカにまともにつき合うのも面倒で、ギャーギャー言われっぱなしで店を出た。女じゃなきゃ速攻でぶっ飛ばしてる。
こんなクソつまんねぇとこに連れて来やがったヤスを、あの女の代わりにぶっ飛ばすと心に誓った。
家に帰りさっぱりしたくて風呂場へ一直線で駆け込み、脱衣所に設置してある洗濯機に洋服を乱暴に投げ入れてシャワーを浴びる。
最悪な気分だ。
美奈子に初めてしてもらった時だってあんな下手じゃなかった。
あんときは確か初めて美奈子を抱いた日から1週間位経った頃だった。目をつぶり鮮明な記憶を遡る。
晩飯食って3人でゲームしてた時に、ルカが急病のバイトの穴埋めに呼び出されたんだった。朝まで帰ってこねぇって聞いてチャンスだって思った。
外からSRの排気音が遠ざかったのを確認して美奈子を抱きしめたんだ。
あの時の感覚は一生忘れない。
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