▽ 絆 -kizuna- 09
一時帰国したカレンはあいかわらず目まぐるしく活動してた。漠然と大学に通ってたわたしにはとてもまぶしくて自分も頑張らなきゃって改めて思わされた。
カレンとはすぐには会えなくて、合間を縫って携帯で話す短い会話の中じゃとてもコウと別れたことを言い出せなくて聞かれても軽く流してた。
そしてカレンの体が空いたのはNYに帰る2日前。
待ち合わせ場所で先に待ってたわたしとミヨに気づいて、大きく手を振りながら走って来る人物に目を奪われた。
もちろんカレンなんだけど。
「カレン…。恥ずかしい」
ミヨが眉をひそめ、カレンの方を見てポツリと呟く。
周りの人がスレンダーなクール美人に振り返る。しかもわたし達の名前を叫びながら走ってくるから余計注目を集めてた。
けれど相変わらずなカレンに嬉しくなって負けじと手を振った。
「バンビ、人が見てる」
「ご、ごめんね…。つい…」
「きゃーん!会いたかったー!」
はぁはぁ息を急ききって、わたし達の元に辿り着いたカレンはミヨとわたしに抱き着いた。
「お帰りカレン!」
「…苦しい」
「ただいまー!もう!もう!もう!ああーんっ!2人とも相変わらずかわいい!どんなお洋服着せようかな!?んーとやっぱりフリフリよね!あ!どう?あのお店入ろうか!」
久しぶりとは思えない程のいつも通りの会話に笑顔になる。
「いや」
「いやは却下〜。おいでミヨちゃ〜ん?」
「ちゃんはやめて」
「ちょっとミヨ!アンタそこ今関係ないんじゃない!?」
「あるの。離して」
「やーだ」
カレンの腕から抜け出したミヨはニッコリ笑ったカレンに余計抱き着かれて、逃げてを繰り返す。
わたしの周りをクルクル回って追いかけっこする二人のやり取りが面白くて久々に声を上げて笑ってた。
「あははっ!ちょっと2人とも!笑いすぎてお腹痛いよ〜」
「バンビ、笑ってないで助けて!」
「バーンビ。大人しく渡して!」
すっかりいじめっ子みたいな顔をしたカレン。
わたしを盾にして隠れるミヨ。このまま見てるのも面白いけど、そろそろミヨに助け舟を出さなきゃ終わらない。
場所も移動してゆっくり3人でお喋りもしたいし、目じりの笑い涙を人差し指で拭いながら一つ提案する。
「続きはカフェでどうかな?」
「賛成!」
「カフェは賛成だけど、続きはいい」
「またまた〜」
「バンビ!なんとかして」
「ほらほら、2人とも行こう」
追い掛けっこしてる間に割り入り、2人の腕を引っ張ってカフェへ促した。
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