series | ナノ

▽ 新名


マジかよ?
初詣に美奈子ちゃんと行くはずだったのに、家に来たらすでに出た後だった
絶対嵐さんだろ!?
大学一緒なんだし、こんな時位譲れよ!

全力でダッシュして、神社に着いてキョロキョロ見回して、すぐに鳥居のトコで見つけた
あっぶねー!中入ってたら絶対みつかんねーし
近づこうとしたら、嵐さんが肩に手を回そうとしてた!
あの人ホントは天然のタラシじゃねーの!?
そんな事許すわけないでしょーが!
声のが早い!


「あーっ!見つけたー!」


振り返ってあからさまに、帰れ目線を送られたけど、帰りませんよオレ!


「ちっ、来やがった」

「来やがったってあんまりでしょ!」

「あっ!ニーナ!来れないんじゃなかったの?」

「来ないわけないじゃん!俺、受験だしー!ここぞとばかりに神様に、学業成就お願いしなきゃダメっしょ!」

「そうだね!来年3人で大学通いたいよね!」

「でっしょー!美奈子ちゃんがそう言うなら俺、超頑張るし!」


来れないって言いくるめやがったな、嵐さんめぇぇええ!
おかしいと思ったんだよ!
にしても…すっげかわいい!晴れ着ー!
1番に見たかったな…
それもこれも嵐さんが悪い


「…嵐さん、中々こズルくなりましたね、しかもさりげに肩に手を回そうとしませんでした?」

「悪いのかよ」

「散々気づかなかったクセに、何スか今頃ー!アレはズルいっしょ!」

「好きなんだからいいだろ」


この人自覚してから、超強引じゃね?
イヤまぁ、自覚する前も結構な強引ぶりではあったけどさ、動物だよ動物ー!


「どーせ、好きだから触るの何が悪いんだって思ってんでしょ?」

「…凄いな新名、人の心読めんのか?」

「行動に現れてんじゃないっスか!ダメだし!」


美奈子ちゃんもスキンシップ結構するし、嵐さんが触っても、別に当たり前みたいなんだよな
心配だし!押し倒されたりしねーよな!?
オレ気安く触れねーっつーの!
不利じゃん!オレ不利!
ずりぃよ!嵐さんずりぃ!

美奈子ちゃん挟んで、カラン、カラン念込めながら鈴を鳴らして、パンパン、とお願い事を始める
『受験合格!、美奈子ちゃんとつき合えます様に』んーと、あとは『嵐さんが次の試合無事勝てますように』オレ先輩想いじゃね?


「二人は何をお願いしたの?」

「俺は次の試合の事」

「俺はもちろん受験合格!」


恥ずかしくていえねーし


「あ、わたしもその2つお願いしといたよ!」

「…他は?」
「そんだけ?」


少しはオレと、ラブラブな関係になりたいとか思って欲しいんスけど


「うん、あ、手が冷たい〜」

「貸せ」


あっという間に美奈子ちゃんの手は嵐さんの両手に包まれた
くっそ出遅れた…!


「嵐くんの手、凄くあったかいね〜」


あ、頬っぺたとか赤くなってる
マフラーで少しは和らぐんじゃね?


「これ貸したげる」

「ニーナの匂いがするー、あったかーい」


顔にフワッと巻き付けたマフラーで、顔暖かくなんねーかなって、ホッペタを両手で挟んだ
冷えてんな


「あー、もうすっげ寒そう!大丈夫?」

「うん、晴れ着にマフラーって変な感じだね」

「お前は何しててもかわいいけどな」

「うん、かわいいよ」

「え?う、あ、あ、あ、ありがとう…」


マジで照れた顔すっげかわいすっぎっしょ
ギューッてしてぇ!


「行くぞ」


また…邪魔っすか?
そうはさせませんよ
嵐さんが握ってる反対の美奈子ちゃんの手を繋ぐ


「…俺はこっち」

「なんで」

「いいっしょ、別に」

「仲良し3人組だね〜」


そろそろそれも卒業でいいんじゃねーかな


「うーん」
「えー?」

「来年はニーナも同じ大学だし、また3人で遊ぶ事多くなるね〜、嵐くんとはよく学校帰りドコか寄ったりするもんね」

「な、何それ初耳なんですけど!?」


何だよ!抜け駆けずりぃよ!
かーちゃんなんでオレを、1年早く産んでくんなかったんだよ!
ハンデにも程があるし!


「そうだっけ?」


そりゃ…報告の義務なんかないしー


「新名、落ちろ」


ひでぇ!鬼だ!この人鬼だ!


「絶対受かります、その日何が起ころうとも、俺は受かりますからね、本気出しますよ」

「先輩の言う事は聞け」

「コレに限っては、先輩関係ないッス」

「どうしたの?」

「なんでもねーよ」

「今のところは内緒」

「ふーん」


神様〜神様〜
オレが合格するまで、嵐さんが美奈子ちゃんに手を出しませんように…
あ、合格前に美奈子ちゃんとオレがつき合うのでもいいです


end


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