series | ナノ

▽ 男より男前なライバル


拉致ってきたものの、何ていやいーんだよ
向かい合ったまま無言で突っ立ってた



「…帰る」

「はぁ?お前何で、んな怒ってんだよ」

「可愛くないって言った」

「言ってねぇ!」



どこでどうすりゃ可愛くねぇ事になんだよ!
ただちょっとからかっただけだろうが!



「昨日言った!」

「言ってねぇって!」

「顔、怖いって言った!」

「そういう意味じゃねぇよ!だいたいお前がヘラヘラ誰にでも愛想振り撒いてっからだろ!」

「振り撒いてない!」

「振り撒いてんだよ!」

「そんなのコウくんに関係ないもん!」



関係ねぇ事あるかよ!
美奈子の腕を引っ張って、蹴つまずいた体を、腕に閉じ込め、上を向かせた



「えっ、ちょっ…と…!」

「黙れって」

「んんっ!?」



顎を持ち上げて、唇を強引に重ねる
抵抗してた体から、力が抜けて俺に体を預けてきた
唇を離してやると、美奈子が俺を見上げてた



「…これで、わかったかよ…」

「…わかんない」

「わかれよ!」

「わかんないもん!えっち!」

「お前が好きじゃなきゃ、んな事しねぇだろーが!わかれよ!」



その言葉を聞いた美奈子はニッコリと笑う
コイツ…まさかわかったクセに、わかんねぇフリしたんじゃねぇだろうな…



「やっぱり」

「…ワザとか?」

「取り消しちゃうの?」

「取り消さねぇよ!」



ジリジリと美奈子を教室の隅に、追い詰めて手で檻を作ってやる



「コ、コウくん?」

「お前が言った、『えっち』ってやつも取り消さなくていいけどな」

「え?」

「その通りだしよ」



もう一度キスして、少しだけ唇を離して、頬を撫でる



「お前こそ、好きでもねぇ男と、こんな事すんのかよ」

「…好きな人としかしないよ…」



視線を合わせて、フッと笑うと首に腕が回されて、美奈子が俺にキスをした
こんな事ならとっとと自分の女にしときゃ良かった


けど、本当にお前、花椿と何でもねぇんだろうな?
考えたくもねぇけど、ありゃ王子様みてぇなもんだろ?
女共もキャーキャー騒いでるしよ



「…美奈子お前、花椿と…」

「カレンがどうしたの?」

「いや、やっぱいい…」

「変なコウくん」



これから起こりそうな妨害を、あんま考えたくなくて、美奈子を思いっきり抱きしめた




END


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