▽ 知らない気持ち
「手伝う」
「…いいよ、雑用全部マネージャーの仕事だし」
それだけ告げると、黙々と畳をキレイにから拭きで吹き上げていく
こっちを見もしない態度に心がチクリとした
「手伝うから貸せよ」
「いいよ…」
「いいから貸せって」
手に持った雑巾を取り上げても、俺と顔も合わさない
すぐに立ち上がろうとする手を思わず掴む
「…離して」
「嫌だ、こっち向け」
「嫌…」
頑なにこっちを見ようとしないお前の体を自分の方に無理矢理向かせる
「離してよ!」
お前の顔は今にも泣きそうで、自分が傷つけてしまったんだとやっと気づいた
「…ごめん、雑用とか思ってない、ただお前が他の男と喋ってんのがムカついた」
「…どうして?」
「わかんねーよ、だけどお前が側にいねーと何か変な感じするし、他の男と喋るとイライラするし、自分でわかんねーんだよ、お前が俺に喋らないのも嫌だ、とにかく嫌なんだ、いつも俺の側にいろよ、お前はおれのモンであって欲しい」
ビックリした顔でお前が俺をみてて、しばらくして笑い出した
「わたしと嵐くんは、一緒の気持ちだって思っていいのかな?」
「え?じゃあ、お前も俺と何かしたいと思ってんのか?」
「何かって?」
向かい合わせで座るお前にキスをした
「もっと、この先もしてーって思ってる」
「えっ、それは…い、今は心の準備が出来てません…」
「なら、早く準備しろよな」
真っ赤になるお前をみながら、もう一度キスをする
この沸き上がる気持ちが好きって事か?
柔道も好き、三度の飯が好き
俺が思う好きと全然違ってた
わかんねーハズだよな
だってお前はそんなもんじゃねーし
俺だけをみて欲しいし、お前は自分だけのものだと思う
悔しいけど、新名のいう通りだな
気持ちの正体って結局好きって事か
だけど、どこにも当てはまらない俺だけの特別な好き
そして言わなきゃ伝わんねーんだな
「好きだ」
「うん、わたしも好き」
お前を見つめてもう一度キスをすると
本当に世界が激変した
END
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