。トリップ | ナノ

▽ その後…


「ティッシュート!」


ごみ箱に向かって、左手は添えるだけのティッシュートの成功率は未だ0%
笑い転げてたニーナを思い出す


「お前…一回も成功せんね」

「うるさかね〜、頑張ってれば、いつか報われる日がくるとよ?」

「ふーん」


入らなかったティッシュを渋々拾う


「ティッシュダンク!」


端っこに引っ掛かって、コロンと丸めたティッシュが落ちた


「何でそれではいらんとや?ありえんど?」

「うるさいなぁ…!意外に難しいんだから!」


真似して投げた幼なじみのティッシュートは一発でごみ箱へ
そしてニヤリと笑われた
くそーっ!
なんでも器用にこなしやがって…!

最近よく遊びにくるようになった幼なじみと、外に遊びに行ったり、他の友達も呼んでホームパーティーしてみたり、日々は充実しています
積極的に参加する合コンや、飲み会では未だに素敵な彼には出会えずにいるけれど…
どこにいるのわたしのリアルな王子様…?


「わたしこのまま結婚出来んやったらどうしよう…」


ダイニングテーブルに突っ伏して、まだ来ない幸せを歎いてみる


「30までにお互い相手おらんやったら結婚する?」

「うん、その時はもらって」

「オレ、結構本気やけん」

「え!?」


シレッとそう言って、持ってきてた新作の洋画をデッキに入れてソファーに腰掛ける幼なじみ

な、なに!?ほ、本気なの!?
確かに顔は悪くない
気を使わなくていい
収入結構いい感じ
あれ?もしかしていい物件!?


「見らんの?」

「あ、あぇ?えーっと」

「冗談だけん」


ニヤリと笑って、すぐにTVの方に目を向けて、リモコンで再生を押し映像が流れはじめた
一瞬ドキドキした心が、ポーンとどこかにとんで行った
考えて損した!


「なんねー!アンタ!バカー!」

「よかけん、大人しく見れよ」


映画を見てる内に、いつの間にか眠ってて、サラサラと髪を撫でられた気がした


「気づけよ、バーカ…」


わたしはまだ身近にある恋にまだ気づかないまま…

■あとがき→


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