。トリップ | ナノ

▽ 夢が覚めるとき


ドライブを終え、家に着いてニーナに本当の事を話そうか迷っていた
寝室に入って、DSLLを見ると赤いランプに変わってた
慌ててアダプタをコンセントに差し込んで、小さな差し込みをDSに近づけたトコで手を止めた
終わりにしなきゃ
やっぱり無理、このままの生活は続けられない

自分じゃ電源落とせないから、自然に電源が落ちるまでそのままにしてよう
今日を最後の夜にしよう


「美奈子ちゃん、お風呂入んねーの?」

「あ、うん…入るよ」


少しでも一緒に居たくて、慌ててシャワーを浴び、リビングに戻ってきて、ニーナの横に腰掛ける


「早くね?どしたの?」

「少しでも、一緒に居たいから」

「へっ!?」


みるみる内に、真っ赤になってくニーナの肩にグテーっと頭を乗せる


「美奈子ちゃん!?」

「ニーナに会えて良かったな」

「な、なに〜?」

「わたし、スッゴいダメダメ女だったよね」


ワタワタしてたニーナが、何か思い出して軽く笑う


「まぁ、ね〜」

「そんな事ないよ〜?くらい言ってよ〜」


膨れてニーナを見上げると、いたずらっぽく笑って、わたしを見つめた


「だーって、服も適当だわ、面倒臭がるわ、外にも出ねーし、油断するとすぐ外食で済ませようとするしさ、女の子として、もったいねー事ばーっかすんだもん」

「…うっ」


ニーナに会うまでの自分を葬りさってしまいたい
就職したばっかりの頃は、そんな事なかった
いつからあんな風に、なっちゃったんだろ?
過去を思いだしてると、ニーナが言葉を続けた


「でもさ、不思議とオレの知ってる美奈子ちゃんとは、別人って思えなかったよ」


プレイヤーだからなのかな?
他の人がしてる主人公も、それぞれソフト毎に違うって事なのかも
ゲーム中の主人公って顔わかんないもんな


「一つ聞いていい?ここはオレの知ってる世界とは違う?」


少し寂しそうで、真剣な目に嘘はつけなくて、コク、と頭を縦に振って、またニーナに寄り掛かる


「うん」

「やっぱり、もう終わりなんだよね?」


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