。トリップ | ナノ

▽ 会えて良かった


天守閣はやっぱり高いし、足が竦むし思うように動かない
もうマジで降りたい…


「どーん!」

「うわっ!な、何!?」


振り返ると美奈子ちゃんがクスクス笑う


「遅刻した罰だよ?」

「ここでソレはナシ!マジでシャレになんねーし!」

「どうして?」

「それは…」


高いところも、恐いところも苦手ですって、カッコ悪い事言えないし!
カッコイイ男には、こえーもんはねーハズだし?


「高い所苦手だもんね」

「え!?」

「違う?」


な、なんで知ってんの!?
楽しそうに笑う美奈子ちゃんが、オレの前で小首を傾げた


「笑えばいいじゃん…」

「あははっ」

「ひでぇっ!」

「旬平くんのそういう所みれるの嬉しいよ?」

「普通に引くでしょ」

「引かないよ」


何コレ…?
デジャヴュ…?
しかも今オレを『旬平くん』って呼んだ
夢の中ではそういう風にずっと呼んでくれてたけど、昨日までニーナだった


当たり前に手を繋いでお城を後にして、帰るにはまだ少し早いから、寄り道に海に誘った
少し寒くて、自販機であったかいココアを買い、海を眺めてチョコンと座ってる美奈子ちゃんの横に並んで座る
そん時、ズボンの右のポケットで、チクッとしてその原因を取り出した


「…コレ」


大人美奈子ちゃんに借りたヘアピン…
どういう事…?
やっぱり夢じゃなかった?


「あ、わたしのヘアピン…!」

「え?」

「お気に入りで、なくしたって思ってたの…旬平くんに貸したっけ?」

「…美奈子ちゃんの?」

「うん」


アレってやっぱり本当に違う世界に行ってたんじゃねーの?
そして、美奈子ちゃんは美奈子ちゃん…?
理由はわからないけど、間違いない気がする


「ねぇ、美奈子ちゃんって、中学校のジャージをパジャマにしちゃったり、ホラー映画大好きでよくみてたり、実はいたずら好きだったり、ドラマとか、バラエティとか、撮り溜めるクセに見なかったりとかしてねぇ?」

「え!?」

「違う?」

「は、半分位…当たってるけど…」

「本当に半分?」

「…全部、…当たってます…」


やっぱり、同じ美奈子ちゃんじゃん!
一緒に過ごした日の事を思い出して、ブハッて吹き出した


2/3
[ | back | ]


QLOOKアクセス解析
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -