。トリップ | ナノ

▽ 最後のドライブデート


この世界でニーナは生きていけない
存在している証拠がない

わたしが居なくなったら…?
明日事故で死ぬかも知れない
未来はどうなるかわからない

じゃあニーナはどうなるの…?
無理だ…
責任取れない


「美奈子ちゃん…?」

「あ、ゴメン…」


少しの沈黙の後ニーナが口を開いた


「ドライブいかね?ってもアンタに運転してもらわなきゃいけないけどさ」

「はぁ!?どこに!?」


どんよりした雰囲気を、吹っ飛ばすニーナの明るい声


「いいドライブコースねーの?」

「あるには、あるけど…」

「じゃ、早く準備して!」

「う、うん…」


急かされて、着替えてリビングに帰ると、お決まりの満面の笑顔でお世辞の言葉


「超カワイイんですけど〜」

「ほんと?」

「うん、似合ってる!オレの事どうするつもり〜?」


毎日の言ってくれる言葉も、一ヶ月も経てばすんなり受け入れられるようになった
ニーナに会って、少しは素直になれたかもしれない
どっかいっちゃってた、乙女な心もチラホラと戻ってきた気するし
残念ながら、ニーナをいじりたい心は直らない


「え〜?どうもしないよ」

「やっぱかわいくねぇ」

「かわいくない?」

「…カワイイ」


ふっ、と笑って家を出て、ニーナが鍵をかける
先にエレベーターまで来たわたしは、下に行くボタンを押して、小走りで隣にきたニーナを見上げて、お互いに笑いあった

駐車場で車に乗り込み、車を発進させる
きっとわたし達のお出かけは、これが最後だと、心のどこかでわかってたんだ


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