。トリップ | ナノ

▽ 変わりゆく気持ち


家に帰って見て冷蔵庫オープン!
ササッと作れるモノなんて、アレしか思い浮かばない
ゴソゴソと、ストック棚を漁って、お目当てのブツを発見

熊本県民ご用達!かはわかんないけど
『アベックラーメン』
コレ安いクセに美味しいのよね
このダサいネーミングセンス…
なに…アベックって…!

パスタじゃないけど麺だし
良かろう?コレで!

焼豚もあるし、ネギもあるし、炒飯まで作れちゃうじゃん、しかも短時間でね!


「旬平くーん」

「んー?」

「ラーメンでいい?ほら麺だよ!」

「パスタとラーメン全然違うっしょ!」

「悪い?炒飯も作ったげるから」

「オレ手伝うよ!」

「いいよ、邪魔」

「ちょっとー!もっとこうさ?ううん、大丈夫だよ?とか、座って待ってて!とかさー!言い方あるでしょ!?」


いちいちうるさいなぁ…
無いっての、そんなかわいい事、吐くパラなんかさぁ


「はぁ…、座って待ってて」

「アンタ、やる気なさすぎでしょ!」


はぁ、とため息ついて、ガッカリしたニーナに、カチンときてプリプリ怒って、ネギをニーナに向けた


「はぁ!?じゃあ見本見せてよ!」

「座って待ってて


うん座って待ってる
って違うわー!

対面のキッチン越しにニッコリ笑って、上出来な見本…
うっ、くそ…かわいいじゃないか…
今、ハートがいっぱい出た…
わたしからね!


「さて、はじめようか…」

「ちょっ!オレのコレには、コメント無しっスか!?」

「あー、あー、カワイイですよ〜」

「カワイイじゃねーし」

「…カッコイイですよ」

「マジでー?やっぱカッコイイ!?」


自分でカッコイイ?って聞く奴、現実にいたらぶっ飛ばすよ…
誰が何と言おうとも、ニーナはわたしの中ではカワイイんだ…!
ここは大人なわたしが折れてあげるよ


「はいはい、カッコイイ」

「ちょっと納得いってなさそな返事じゃね?そだ!ね、美奈子ちゃん髪ゴムか、ヘアピン貸して」

「へ?向こうの部屋あるよ、何か使うの?」


ザクザクと、ネギを刻んでた手を止めて、ドレッサーのある部屋を指した


「髪留める、作るとき邪魔だし〜」

「え!?」


なになに!?
それみたい!
Newスチルじゃない!

ドレッサーのある部屋までいって、戻ってきたニーナの前髪は、クルクルっと無造作にねじって、二本のヘアピンでとめてあった

神様ありがとう…
ポンパですね…
わかります…
かわいいです…
見つめてて、いいですか…?


「どしたの?早く作ろ?」

「ふぇ?ふぁい!」

「…マジで、どしたの?」

「ななな、なんでもないって!」


鼻歌混じりにニーナは、フライパンをあおってた
出来た炒飯も、ご丁寧にお茶碗に入れて、ひっくり返して盛るわ、飾り付けにもこだわるわ、自分にないものがとても新鮮です


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