。トリップ | ナノ


▽ 怖がるニーナがみたいだけ


「あっれー?美奈子ちゃんもしかして、ドキドキしちゃった?」

「う、うるさいな!ニーナが怖がるから、ビックリしただけだよ!早く上まで上がるよ!」


急に今まで怖かったのが、吹っ飛んだみたいに、覗き込まれて思わず体を反らした


「赤くなってね?」

「なってない!」

「そ?手、繋いでいいよねー?」


返事も聞かずに繋がれた手に、汗だくになりそうな位、慌てふためく自分

ああ…これがミイラとりがミイラとり
すっかり調子を取り戻してしまったニーナ
はぁ、どうせなら第三者目線でずっと見ていたいのに、現実だとそうもいかないもんだなぁ


「こんなのに怖がる男って、引いたりしねー?」


ちょっとバツが悪そうに、下向いて聞いてくるニーナは『こんな男になりたい』ってのがあって、それに向かって努力してる努力家さんなんだったな
ゲームしてても、それはわかるし、そんなニーナがいいな〜って思うんだよね
でもね…ニーナ…
葉月君には、なれないと思うよ…


努力か…
自分と真逆だ…羨ましいな


「引かないよ」


ここだけは選択肢は間違わないようにしなきゃ


「マジで?急に優しくね?何か企んでね?」


うたぐり深いな
こっちだって、抱きつかれたりしたら困るよ
今度は好きそうな所探しといてあげなきゃ
今日だけは、もうちょっとかっこつけニーナじゃないニーナがみたかったんだもん

1番上まで何とか連れてって、怖い事を隠さなくなったニーナは大騒動


「囲いねーじゃん!あっちは回り覆われてんのにさ!オレもう、ここからそっちにはいかねーし!」


天守閣の方を指さして、ギャイギャイ文句をたれる


「ニーナがこっちがいいって言ったんじゃん!」

「オレここ自体イヤって言ったじゃん!」

「だって面白そうだったんだもん!」

「ひでぇ!知ってたんじゃん!美奈子ちゃんの意地悪!」

「文句言うなら、手離すよ!」

「…ぐ!離さないで下さい…」

「よーし、下降りようか」


ブツブツ言ってる中に『覚えてろよ〜』とか聞こえた気がしたけど、もう掻き乱されたりしないもんね

順路を辿って出口が見えて来たら、早足でニーナに引っ張られて、靴もちゃんと履けないまま外に出て太陽の光を浴びた
思いっきり背伸びする後ろ姿を見ながら、靴を履きなおす


「眩しい…」

「やっぱ地面がいい」

「今度は天守閣ね?その後は本丸御殿みよう」

ずっと復元工事ばっかりで、出来てから見た事ないし…


「え、えぇ〜?」

「せめて本丸御殿は見たい…のに」


ショボくれて見せると、やっぱりため息吐いて、諦めて渋々本丸御殿の方に歩き出した
あ、天守閣はやっぱりダメなのね?


「…早くこねーと置いてくし」


グッジョブ、わたし!


「置いていって大丈夫なの?」

「困る」

「ヘタレだな〜」

「開き直ったからいいんです〜!行こっ!もう楽しまなきゃ損だし!」


屈託のない顔で笑って、当たり前の様に手を差し出して手を繋がれた

わたしだったらどうするかな
絶対イヤなとこだったら、テコでも動かない
合わせたりしない
だって協調性ないもん
小学校の先生の折り紙つき


わぁお、スッゴいワガママだ…


この子…マジで凄いな
見習わなきゃいけないんじゃないの?




To be continued…


4/4
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