表*部屋 | ナノ

▽ 口実


君にとって僕はどう写っているのかな?
優しい会長かい?
それとも頼りがいのある先輩かな


皆の評価の言葉の中のどれかに当てはまってしまうのだろうか…


僕にとっての君は特別なんだ


後輩でもなく
仲の良い女の子でもなく


君の周りにはいつもたくさんの人がいて、僕はその中の一人でしかないんだろうか?


「紺野先輩こっちの資料まとめておきました」

「ああ、ありがとう、君はよく気がついてくれるから、とても助かるよ」

「他に何か手伝える事ありますか?」


優しく微笑む顔に僕も優しく笑って返すけど、実は長く君を見つめたりすると、顔が赤くなってしまいそうで直視出来ないんだ


「いや、もう大丈夫だよ、ありがとう」

「はい、何でも言ってくださいね」


そう言って小首を傾げる姿がなんてかわいいんだろう
そそくさと目を逸らして、目の前の書類に手をかける
僕は女性に自分から気持ちを伝えた事はない
好きになったとしても、自分から行動を起こせるほど自分に自信がない


もし、断られてしまったら…?


そう考えると平和な今のままでもいいかなと、安全な道を今も昔も選び続けている

だけど君と話したくて、生徒会室で『わからないとこがあるなら勉強を見てあげる』『生徒会の仕事を手伝って欲しい』色々口実をみつけて、君と一緒に今もいる

そんな僕は君の目にどう映ってるのだろう

書類の整理が一段落するのを見計らった様に君がお茶をいれてくれ、隣のパイプ椅子に腰掛け、僕を見上げた


「紺野先輩…、あの、次の日曜日…花火大会に行きませんか…?」


顔を真っ赤にして、俯きながら恥ずかしそうに君が僕に言った
それは…デートのお誘い…か?


「ああ、大丈夫だよ」

「良かったです」


微笑んだ君を見て、心では飛び上がりそうに嬉しいのに、僕は極めて優しいいつものトーンと、優しい笑顔で君にそう告げた


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