表*部屋 | ナノ

▽ 初恋


卒業式の帰り道初めて彼女が出来た日。
柔道ばっかりで、色恋に無縁だった俺はそれが恋だと気づかずに、お前が隣にいるのが当たり前だと思ってた。

お前が笑うと安心する。お前が隣に居てくれるだけで強くなれる。
どこかに行こうと考えると、真っ先に思い浮かぶのはいつもお前で、それに応えてくれるから、やっぱりそれも当たり前だと思ってた。

受験の前にお前がどこの大学に行こうかすごく悩んでた。俺と同じとこに行くって勝手に思ってた。
その時初めて、自分が色んな事全部すっ飛ばして、お前と共有する時間を楽しんでた事に気がついた。

これが恋なのか?と思うと今までの事、何もかも合点がいって、もう気持ちがとまんなくて、お前に好きだといいたくてたまんなかった。
もうお前は自分の一部みてーなんだ。失ったら上手く動けない。


「嵐くん?どうしたの?」

「お前俺の彼女なんだな」

「うん…、手繋ぎたいな」


そっと伸ばされた手を握ると、暖かくてちっさくて俺の手とは全然違う。


「手ちっせーな、お前」

「嵐くんの手がおっきいんだよ」


フンワリ笑うお前に思わずつられて笑う。
もしこの気持ちに気づけなかったら、俺はどうなってたんかな。
隣で笑うお前にキスをした。


「大好きだ」

「わたしも大好きだよ」


違うな…。
お前を好きな事に、俺はぜってー気づいてた。体がお前に反応すんだ。
自分でも気づかない内に惹かれてて。


END


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