表*部屋 | ナノ


▽ 認められない恋心


バレンタイン当日
どいつもこいつも浮足立ちやがって、しかも美奈子も、ルカの姿も見当たらねぇ
二人でどっか行ってたりすんのか?
関係ねぇけど…


………関係なくねぇな


教室を出てどこに行こうか考えながら、階段を降りていく
どうせ屋上も浮かれた奴らで、落ち着きゃしねぇし、裏庭行くよかいっそ帰っちまうか…


「アレ?コウくん?どこ行くの?」


下駄箱で靴を放り出した所で、美奈子に出くわした
会いたかった様な、会いたくなかった様な、そんな複雑な気分になりながら、小首を傾げたお前を見下ろした

手には小さな紙袋が握られてた


「…ルカと一緒じゃなかったのかよ」

「さっきから探してるんだけど見当たらなくて…」

「何でだよ」

「うん、チョコあげたくて」


キョロキョロと周囲を見渡して、俺を見上げてニッコリと笑う

マジでルカに作って来てやったのかよ
今までずっと俺に作ってたクセに


「女に追い掛けられてんだろ?」

「ルカくんモテるもんね〜」


靴を履いて外に出ると、慌てて美奈子が追い掛けてきた


「ま、待って!どこ行くの〜?」

「どこでもいいだろうが」

「もう!」


そう言いながらも、俺の後を追い掛けて、裏庭までついて来た


「早くルカ探せよ、何ついて来てんだ?他の女にとられんぞ?」

「何を?」

「ルカを」

「え?」


頭に?を出したみてぇに、俺を見上げて、小首を傾げる


「…探してんだろ?」

「探してたけど、コウくんを先に見つけちゃったから…、待ってて、って言ってもコウくんどっか行っちゃいそうだから…」


ゴソゴソと小さな紙袋から、綺麗にラッピングされたオレンジの包みを出した

あ、やべぇ…
これって俺にも持ってきたって事だよな?


「今年もあんまり甘くないチョコだよ?で、でね?あの…あ、あの…」

「あ、おぅ…、ルカにも…作ってきたんだろ?」


つい確認する言葉が出てくる


「何で?コウくんにしか、作らないよ?あのね…あの…」


これって俺の事…好きって事なのか?
それともマジで、甘いもんくえねぇからなのか?


「ルカが作って欲しい、って言ったんじゃねぇのか?」


素直にサンキュでも言っときゃいいのに、どうしてこう素直になれねぇんだろうな
気になり出したら、確信もてねぇと動けねぇんだよ


「コウくんは作ってあげた方が…良かったと思う?お世話にもなったし…」

「まぁ、ルカが欲しがってんなら…」

「…そっか、悪い事しちゃったかも…ルカくん探しに行ってくる…」


しょんぼりと俯いて、無理矢理な笑顔を見せながら、クルリと背を向けた、美奈子の手を掴んだ

そんな顔させるつもりだったんじゃねぇ!


「いやっ、ちょっ…まて」

「え…?」

「やっぱ、俺にしか作って欲しくねぇ、ルカにも渡さなくていい」

「ど、どうして?」

「…俺は」


もう覚悟決めろ
もしかしたら、俺を好きかもなんて、気のせいかもしれない

美奈子の気持ちに確信もてなくても、俺がお前を好きだって自覚したなら、俺の女にしてぇと思う
それだけで充分だろ


5/7
[ | back | ]

QLOOKアクセス解析
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -