深夜2時、何となく寝れなくて携帯を弄りながら夜風にあたっていたら彼女から電話がきた。

「もしもし…金造?」

「何や、どうしたん」

「声、聞きたくなって…ごめん、夜中に」

「いや、別に眠れんかったしえぇけど」

名前の声は驚くほど震えてた。元から透明感のある声だったが其の震えで余計に儚さが引き立っていて聞いてるだけで痛々しかった。直ぐに会って抱き締めてやりたい。そんな衝動だけが胸中に渦巻いてぼやけては沈んでいく。

「今ね、此方満月なんだよ」

「此方もに決まっとるやろ?…アホか、」

「ふふ、うん…そうだね。同じ空だもんね。」

「……名前、」

「…きん、ぞー…」

受話器越しだが名前の声が震えている理由が分かった。泣いている。さっきまでは普通に話していたが今は嗚咽を漏らしながら何度も俺の名前を呼ぶ。

「あ、ぃっ………、会いたいよぉ…!」

「……せやな、会いたいな…」


(同じ空なのに、同じ世界なのに、会いたいのに、会えない。)



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遠距離を書いてみたかった





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