「おはようさん名前ちゃん!」

「きゃあっ!?」

朝、起きて女将さんから借りた和室から出た途端に真正面に廉造くんが居て抱きつかれた。抱きつかれた、と一言に言っても割りと身長が高いから倒れそうになったから正確には飛び付かれた、だろう。

「あ、わわ…お、おはよ……えっと…廉造くん離れて?」

「えー、嫌や。名前ちゃんやわっこくて気持ちえぇねんもん…」

「ひぇえっ!?」

拒否されて背中に回った手がそのままお尻へと下がってきて触られる。やけに優しい手付きが厭らしく感じる。大体付き合ってもいないのにどうしてこうも毎日毎日セクハラしてくるのかが理解できない。もっと良い人がいるだろうに…

「やだああ!廉造くんやめてえ!」

「えぇなぁその声その台詞、エロいわぁ…」

エロくなんかないし意味が分かんない!嫌なのに嫌なのに、でも嫌いなわけじゃないんだけどそれは何で…

「廉造ォオ!お前名前に何しとんじゃボケェ!」

「ひ、ゎ…じゅうぞう、さんっ…」

ドスドスと重く低い声を響かせながら柔造さんが此方へと歩いて廉造くんから解放してくれた。

「大体名前は俺のやしに触るなんぞ許さへんからな!」

「っ〜!」

駄目だ。この人も変態だった。柔造さんに引き寄せられて、それまでは良かったんだけど腰に腕を回されガッチリとホールドされてしまった。…もう疲れた。


「二人とも!いい加減にしてよ〜ッ!!」


爽やかな朝にこれはない。






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