竜士くんは今時の男子高校生に足りない物がいっぱいだと思う。例えばって?そりゃあエロ本持ってないとか、その前に彼女であるわたしに何もしてこないだとか、うん。真面目で堅物過ぎて楽しくないよね。その話を竜士くんにしたら真っ赤になってわたしが性欲が強すぎるだけだって怒鳴られた。何故怒鳴られたのかはよく分からないけど其処は照れ隠しという意味で取っておく事にした。それで今、男子寮の部屋で竜士くんと二人きり。勿論わたしがこっそり侵入しましたとも!


「竜士くん、何かさー暇だよね?」


「そおか?別に、俺勉強しとるしお前もしたらえぇやろ」


そう言って竜士くんは机に向かってノートと睨めっこ。…つまんないの。少しくらい此方向いてくれたって良いのに…。ていうか今、二人きりなのにする事明らかに違うでしょ!何なの勉強って!色気なんかちっともありやしない。それだったら此方がその気にさせてやらなきゃいつまで経っても進展なんかしないみたい。わたしは椅子に座ってノートと睨めっこしたままの竜士くんにソッと後ろから抱きついた。


「な、何やねんいきなり」

「んー?別に、甘えたくなって…」

明らかに動揺している声色。それでもノートを閉じる気配は無い。続いて更に距離を縮めて抱き着くと思惑通りに竜士くんの背中に容赦なく胸が押し付けられる。一度、微妙に背筋が伸びたと思って顔を上げたら耳まで真っ赤になっていた。やっぱり其処はちゃんと男の子だよね。


「お前狙ってやっとるんか」


「ん?何が?」


知らない振りをして顔を覗き込もうとしたら逸らされた。耳まで真っ赤になってるって事は顔はどんなになってるんだろうなぁ…茹で蛸状態?想像しただけで興奮するなんて、わたしの方が男の子みたい。そんな竜士くんをもっと反応させてみたいとピアスを付けたままの耳に舌を這わせて甘噛みしてみた。声は洩らさず、息を呑む音が聞こえてこっそり横から覗き見したら下唇を噛んで涙目になって必死に堪えているのが見えた。くそう、何でそんなに可愛い表情してるのキュンキュンしちゃうよ!これだから虐めるのが辞められないんだよ!


「する気になった?」


「…やっぱお前最初っから企んどったんか」


「ふふ、あーたりっ」


真っ赤なままの竜士くんがやっと此方を向いて少し睨む感じ(それは元からだと思うけど、)で此方を見上げてきた。相変わらず可愛いよね、なんて言ったら、竜士くんは漸く立ち上がってベッドの側まで来てはわたしを押し倒した。「漸く」「やっと」なんて言葉じゃ足りないくらい待ち続けたわたしも竜士くんの何時になく真剣な、そして大人っぽい表情に身震いさえ覚えた。


「今夜は返さへんから、」


なんて、濃厚で甘いことばを耳元で囁かれてはそのまま彼の背中に爪を立てた。



(真面目な振りしても欲望には勝てないんだって。)






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