小説 短編 | ナノ
01
いつものスーパーへ行く帰り道。
貴方に会うのを計算して、ずっとそのスーパーに通い続けている私はもはやストーカーなのかもしれないけれど。

芸能人みたいなサングラス。
青いスパンコールのパンツ。
自分の顔がプリントされたタンクトップ。
革ジャンにドクロのバックル。

橋の上で見かけるたびに見てしまう。
もう、盲目的なほどに。

ああ、姿を見るだけでその日は良い日。
目が合ったらその日は1日浮かれ顔。
話せたら、なんて考えると。


「……はぁ〜、話してみたい!」


そんな事を呟きながらいつもの帰り道を歩く。

彼を見つめてもう1ヶ月。
名前も連絡先も知らない相手に恋するなんて、これが一目惚れってやつなのかな。
なんて改めて再確認させられる。

今思えば彼を好きになったのはきっとあの時。

引越しした初日に、いつも通るその橋に寄りかかる彼を見て、一目惚れ。
本当に一目惚れとかあるんだなあ。
なんてそれまでは一目惚れとか、疑ってたけどその瞬間から私はドクンと恋に落ちた。

何もかもがドンピシャで、彼を見た瞬間に心臓に熱湯をぶあぁっと掛けられたように顔が熱くなった。

それでも、あれから1ヶ月。

話したいけど話せない。
声かけたいけどかけれない。
見つめたいけど絶対むり。


「今日こそは!」


なんて言ってもいつもと同じ。
友達に相談すると、逆ナンすれば? と言う心底どうでも良さそうな返事が返ってきた。

……それもいいかもしれない。
なんて、思ってしまったのもある。
改めて行動を起こすにはやはり自分から。


「あ……」


心臓がキュッとする。
またいた、橋の上にいるあの人。

今日こそは、今日こそは、今日こそは!

覚悟を決め、橋の手すりに寄りかかり、私に背を向けたままの彼に近づく。

変な人って思われたらどうしよう。
断られたらどうしよう。
無視されたらどうしよう。

そんな思いが交差しながら進む。


「あの、今暇ですか?」



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