02
「いただきまーす!」
「ど、どうぞ……」
目の前でおそ松くんが私の作った肉じゃがを食べている。私はもう晩ごはんを済ませていたので、おそ松くんの分だけ作ったので早く作ることができた。
まずいって言われたらどうしよう。
自分では気づいてないけど料理下手なのかも。
いや、でも普通にパクパク食べてるし……。
早く感想を言って欲しいものだ。
「ねぇねぇ」
「ん? らに?」
「口の中のもの飲み込んでからで良いよ」
口の中に入っているものを隠さずに口を開けるものだから、私が慌ててそう言うと、おそ松くんはゴクリとお茶で流し込んでから言った。
「んで、なに?」
「なにって……感想! 聞かせてよ」
「ああー、肉じゃがの?」
「それ以外ないでしょ」
うわ、すごいドキドキする。
「なまえの料理は〜」
「う、うん!」
「なまえの料理はね〜」
「た、溜めるな!」
別にそこ溜めなくて良いんだけど!?
私がそう言えば、おそ松くんは「はいはい」とめんどくさげに言う。おいこら。
「美味いよ」
「っそ、そう! よ、良かったぁ……」
同年代の異性に手作りの料理を笑顔で「美味いよ」なんて言われて、嬉しくないはずがない。
私は思わずその言葉に安堵した。
喜怒哀楽の喜の感情に浸っていると、おそ松くんがまだ続けて言おうとしているのに気づき、おそ松くんをじーっと見つめた。
「なまえの料理にはあれも入ってるもんな!」
「え、あれって?」
本当にわからない。
私何か入れたっけ?
隠し味の事? と聞こうにも、私は特に隠し味なんてものは入れていないしで疑問が湧く。
「一つに決まってるだろー?」
「え、なに? ほんとに分かんない」
「愛だよ、あ・い!」
その言葉に思わず固まる。
「アイ?」
「愛!」
「哀?」
「愛! 俺への愛情が込められてるもんな!」
「っはぁ!? ふざけるなバカ! 愛情なんて入れてないし! 意味分かんない!」
「言わなくても伝わってるぜ」
「伝わってないよね絶対!」
前に次男がイタくて困ってる。
なんて相談をしてきた当の本人がすこぶるイタい件についてはどうすれば良いのか。
……本当の気持ちはまだ隠しておこう。
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