02
「じゃあさ」
漫画を閉じテーブルの上に置く。
立ち上がり、オロオロしているなまえちゃんの真正面まで進みそこで止まった。
「な、なに……?」
戸惑った様子であからさまに目線を僕以外の方向に泳がせるなまえちゃん。
僕はそんななまえちゃんの態度さえも御構い無しになまえちゃんを壁まで追い詰めた。
なまえちゃんの背中が壁にドサリとつく音がして、僕は片手を壁にドンッと叩いた。
「っと、トド松く……!」
あー、余裕なさそうだね。
「ねぇ……ドキドキ、した?」
あはは、顔真っ赤。
ドキドキしてるよね。絶対。
無言のまま頷くなまえちゃんの恥じらいの表情に満足して「ぼくもドキドキしてる」と言えば、なまえちゃんは「もう!」と言って僕の手を壁から離して腰に手を当てた。
「びっくりしたぁ」
「いやー、ね、ドキドキするかの実験! ……んで、ドキドキしたよね?」
「……まぁ、した……かな」
頬を赤く染め、髪をいじりながら俯向くなまえちゃんは本当に可愛い。
いつになったら気づいてくれるのかな。
それまで僕はこうしてアピールするしかない。
あー、まだ心臓がばくばくしてる。
……自分からやったくせに。
あざとさが売りなのに、ね。
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